降り続ける雨が連れてきた、お洒落な休日

程よい音で雨が降り続く。ゆっくりと目覚める土曜日、行きそびれていた美容室にも、これで落ち着いて行けそうだ。お洒落に疎いワタシにとって、美容室は「学びの場」。店の内装や調度品、スタイリストさんの服装や小道具、そして“今”を語る瑞々しい会話・・・そのどれもが、洒落っ気のない自分には刺激的で、それだけでも十分楽しめる。だからこそ“美容室通い”が長いのだろう。春日部に開店してから初めて訪れる「Brook ark」、どんな店なのか・・・楽しみだ。

入口を1階にあるモスバーガーと共有しているビルの2階、不思議な造りとは聞いていたけれど・・・扉を押し開けて足を踏み入れた瞬間、「いらっしゃいませ!」と緑色の制服を着たモスの店員さんに声を掛けられるのは・・・さすがにバツが悪い。軽くお辞儀して、すぐ右手にある白いらせん階段を上がっていく。ちょうど中段辺り、階段の白が店の中まで続いているのが見えてきた。ここまで来れば洒落た美容室の入口、微かにフライドポテトのいい匂いが漂っているのが何だか微笑ましい。

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幸手から店長としてやってきて1ヶ月が過ぎた・・・そう言いながら、ハサミが滑るように髪を切り揃えていく。アシスタントの女の子が韓国ドラマに夢中で寝不足なこと、ハサミを操る店長の方は “少女時代”が気になるということ、ウチでも深夜のテレビからは韓国語が流れていること・・・“風”を題材にした開放的な店内が、三人の会話をフワッと盛り上げている。ふと天井を見上げれば、黒い鉄の板が優美な曲線を描いて、風の流れを演出していた。

すっかり元気になっていた店長、幸手に居た時よりも血色がいいし・・・ここの水、いや“風”が性に合うのかも?開店直後のバタバタを「スタッフ全員で乗り切った!」と真面目な表情の店長、ワタシたちの“船出”にも声援を送ってくれていた。くじ引きでヘッドスパの半額券を手に入れて、「ありがとうございました」の声を背に階段を降りていく。降り切って扉に手を掛けようとした瞬間・・・「ありがとうございました!」と、また声を掛けられる。モスの店員さんに、来た時よりも気持ち“深め”にお辞儀をして外に出る。雨脚はそのままに、雨は降り続いていた。それでも街並みが明るく見えるのは“気持ち”のせいだろうか・・・心地良い土曜日だ。