ミスタードーナッツ♪

10日振りに見るケヤキ並木は、暖かな褐色に色付いていた。そのうちの何本かは、気ぜわしく葉を落として始めている。都心にはない、緩やかな空間に陽射しがたっぷりと降り注ぎ・・・明るい小春日和が、心を和ませてくれていた。我孫子の空気は・・・やっぱり、うまい!

古巣の“資料室”で、ひとつひとつ頼まれ事をさばいていく。「心許ない」と思っていた連中が、しっかり仕事を引き継いでくれていて・・・ホッとするやら、寂しいやら・・・。複雑な思いが交錯する。パソコンにそのまま残してきた“過去”も消し去ることができて、これでようやく“真”の船出だ。

同じ東武線でも、“垢抜けない”野田線に揺られて家路に着く。ディーゼル車を思わせる鈍重な走りは、故郷を走る常総線に似ていて、どこか憎めない。見知らぬ者が乗り合わせているはずなのに、ご近所さんの集いに思えてくる車内・・・愛すべき“親近感”だ。

梅郷から乗り込んできた女の子が、隣に腰を下ろす。栗色の巻き髪にセルフレームのメガネ、太めのテンプルに細長いレンズが丸顔に馴染んでいた。座った途端に、ふわっと香る甘い匂い。変わった香水だなーと思ったら・・・“ドーナッツ”だった。駅を出て電車が揺れる度、膝の上に抱えている“ミスタードーナッツ”が、美味しそうな香りを放っている。結局、南桜井まで付き合わされて・・・すっかり甘い香りにやられてしまった。駅前でryoの軽トラを待ちながら、寒空の下、たまにはドーナッツもありだなーと思ってしまう。東武公だったら買って帰るところだったけど・・・また、今度かな?