“さくら太り”に向かって・・・まっしぐら?!

薄日が舞う昼休みの駅前、ロータリーを走り抜けるクルマが、勢いよく風を巻き上げていく。思いのほか冷たい風に当てられて、スーツの胸元を塞ぐように腕組みしてしまう。南風が吹いて暖かくなるはずなのに・・・ui-chan、今日はハズレかな?ロータリーを回り込むように北口の方に歩いて、今日もお昼は“さくら水産”だ。サラリーマンには割と知られている食事処、本来は「海鮮居酒屋」が、昼時だけ定食を出している。居酒屋の“ランチ営業”は今時珍しくもないが、500円で“ドリンクバイキング”のような食事ができるのは他にない。

ロータリーの北端に建つビル、お店はその2階に入っている。常磐線のホームからは窓ガラスに貼られた“さくら水産”の文字が良く見えるのに、駅前側には看板もなくて、ちょっとわかりにくい。1階の少し奥まったところにあるエレベータ、その上がり切ったところに店の入口がある。通路の奥にはサイゼリア、雰囲気は全く違うけど、安くて満足な食事を出してくれる店が隣り合わせなのは、庶民にはうれしい配置だ。本日のランチ“A”と“B”の現物を確認してから、扉を開けて店内へ・・・。

給仕までは、いたって簡単なしくみ。券売機で食券を買って、そのまま店の人に食券を手渡すと、選んだおかずが即座に出てくる。ご飯とみそ汁を自分で盛り付け、卵と味付けのりをお盆に載せれば、昼定食の出来上がり。セルフ方式が徹底されている。ご飯、みそ汁はお代わり自由。しかも茶碗はどんぶりだ。ここまでは、よくあるランチだけど・・・さくら水産は、それだけで終わらない。卵も味付けのりも「お好きなだけどうぞ」の食べ放題、テーブルに置かれた“たらこふりかけ”も好きなだけと、胃袋さえ許せば永遠に食べ続けられる“簡単かつ画期的なしくみ”を採り入れている。コクのない卵の親が知りたいとか、白身魚の正体が知りたいとか、そういうことには目をつぶって、普通にどんぶり飯を二杯いただくのが、“さくら水産”の正しい付き合い方だ。

そんな“付き合い”を始めて一週間、どこか体が丸くなったような気がしてならない。ベルトもきつくなって・・・もはや留め具を隣の“穴”に移さないと苦しくてかなわない。それは、“さくら仲間”のメシ友が囁くように、“さくら太り”への序章、ここは何とか踏み止まらなくては。食後のお茶すら飲み干せないほど“さくら水産”を堪能したメシ友と二人、来週からは「そばにしよう!」と来た道を戻っていく。腹を突き出して上向き加減に歩く肩に、柔らかな陽射しが寄りかかって・・・もう寒さは気にならなくなっていた。