無事ニューウェアのデビューを飾れたようだ~レース編1/2

「もう十分・・・」とryoが言うとおり、このまま終わりにしてもいいと思えるぐらい中身の詰まった公式練習だった。そんな言葉とともに一息ついていると、スターティンググリッドから割れるような爆音が響いてくる。早くも一組目のレースが始まったようだ。公式練習に輪をかけたような走りが、第一コーナーに吸い込まれていく。E450クラス・・・最高峰に次ぐクラスは、車体がぶつかる寸前の接近戦。その猛々しさに思わず声をあげてしまう。続くJ450クラス、そしてN450クラスと、どのクラスも手加減なしの真剣勝負、見ているだけで興奮してくる。MCが病みつきになるのも・・・頷ける話だ。

薄日が路面のわずかなうねりを照らしている。SE150クラスの走りを目の当たりにして、気分も盛り上がりをみせてくる。いよいよ本番が近付いてきた。“Local-X”は午前と午後、二回に分かれてのレース。午後は腕に覚えのあるクラス、ということで、出番は午前のクラス・・・フルサイズとの混走が少し悩ましいけど、スタートさえうまくやり過ごせば、あとはいつもの“フリー走行”みたいなもの。目指すは“ニセmanabu”の前でチェッカーだ。

出走者召集のアナウンスに、反応が早かったのはryo。そのKXの後ろ姿を見送ってからヘルメットを被り、RMのキックペダルを下ろす。交換したばかりのプラグが、シリンダの混合気に強い火花を飛ばして、一気にエンジンを目覚めさせる。マシンは申し分ない・・・あとはライダーの腕だけだ。

白煙を吐き出したまま、グリッド抽選のアルミ棒を一本つまみ出す。18番・・・くじ運は良くないみたい。すべての出走者が揃ったところで、若い番号からグリッドへと収まっていく。ようやく18番に回ってきた。目の前にぽっかりと空いているグリッド、ちょうど真ん中ぐらいの好位置には、両側にフルサイズマシンが・・・結局、先にグリッドについたryoの右隣、okano師匠との間にRMを押していく。かなりアウト側だ。見渡せばミニモト軍団が右手のアウト側に集中している。フルサイズと絡みたくない・・・思うところはみんな同じ。エンジンを再始動、15秒前のボードが出されて・・・胸の高鳴りが最高潮に達する。

<わずか5周、ドラマの結末は・・・次回に続く>