“ヤマカガシ”と呼ばれて~後編2/2

昨夜から降り続いているのだろう、空き地の窪みが雨水で膨れ上がっている。水溜りの波紋がひっきりなしに広がっては、あちこちでぶつかりあって・・・雨音が静かに消えていくようだ。走るのは一休み、撥水仕様のジャンバーにデニム地のキャップを揃えて、まずはワンコたちの散歩から、遅い朝が動き始めた。

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タイヤが埋もれてしまうほどの轍が二つ・・・刻まれたコーナーは、どちらも苦手なコーナーだ。ただ、さすがに30分も走っていると慣れてくるもの。フープスやリズムジャンプ、ホームストレートなど、二つのコーナー以外は速度が乗せられる具合のいい路面に助けられて、思いっ切り攻め込んで走れる。その流れに引っ張られて、苦手な轍コーナーも速度を殺さずに抜けていける。リヤブレーキも・・・ふやけた感触が気になるものの、しっかり効いてくれていた。

ようやく雨の上がった昼下がり。ただ、雲が消えることはなく、予報のような“急激な回復”にはならないようだ。雨で滲みたアスファルトを目にすると、このまま公道を走る気にもならない。予定していた“完全休養”も、ちょっと手持ちぶさたな感じがして落ち着かない。たまには違う雰囲気もいいかな?ということで、ryoと二人、何年か振りの「ライコランド埼玉店」まで足を運んでみることに・・・。

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昼休みなしで走り続けて・・・午後1時。最後の30分走行の始まりだ。この前のMCFAJ、初めて見たSE150の決勝レースで、よくわかったことがある。スロットルの開いている時間が違うのだ。真似しようにも簡単じゃない・・・けど、意識しないと近づけない。そんな思いでスロットルを煽ってはブレーキレバーを握る・・・忙しなく動く右手を、さらに忙しくしてくれたのがmori-yanとryoの二人だった。

ryoのバイトを気にしながら、1時間足らずでライコランドを後にする。家に着いて少ししてから、ryoはバイトへワタシはアオキへと、それぞれクルマを出していく。社会に出て早20有余年、毎日スーツを着る破目になったのは初めてのこと・・・もはや“一張羅”じゃあしのぎようもないので、渋々新作スーツを物色することに。折しも“店内スーツはすべて半額!”という豪気なセールが展開されていて、お買い得感は満載・・・ただ、気になることがひとつ。どれをとっても“細い”のだ・・みんながみんな亀梨くんのような体型じゃないんだけど?!とりあえず奮発して“サーモスタット”機能付きの一着を半額で仕入れて、黒が濃くなった夜を背に家路を急いでいった。

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<残りは“完結編”でまとめることに>