999・・・メーテルや鉄郎が出てくる話じゃなくて

JR田町駅前、第一京浜を挟んだ向かいのビルに“TSUTAYA”が入っている。1階にセルのCDとDVD、レンタル商品は2階に配置されているようだ。打ち合わせまでには少し時間があるし、気になる商品もあるし・・・ちょっと見ていくことにした。横断歩道を渡り、入口の自動ドアに向かった瞬間だ、思いっきり右のつま先が引っ掛かったように躓いた。無防備だった身体は、そのまま前に投げ出され、自動ドアに両方の手のひらを押しつけて、何とか都会のど真ん中での大転倒は回避できた。自動ドアが反応しなかったおかげで“フロントフリップ”は免れたものの、かなり恥ずかしい格好だ。入口の段差に気がつかなかったからだけど・・・歳で足が上がらなくなってしまったのかな?だとしたら、哀しい話だ・・・。

ガラスに張り付いた手のひらを振り払うように自動ドアが開く。外での出来事を押し隠して、何事もなかったかのように店内へ。気になる商品は、ベスト盤CDの1枚。TUTAYAプライベートブランドとして展開されている“ザ・ベスト・バリュー999”は、999円という価格に抑えてある、TSUTAYA独自編集のベスト盤シリーズだ。とりわけ洋楽物には著名なアーティストがずらっと名を連ね、最強のシリーズになっている。その中の1枚に我らが“キッス”のジャケットを確認したのは、読売新聞の広告の中・・・写真は結成初期の4人だったはずだ。そのCDの所在とどんな曲が編集されているのか、それを確かめるために寄ってみた。

赤い帯で統一されたシリーズは、入口からすぐのところに並べられていた。さすが一等地に店を構えるだけあって、地元の片田舎と違い欠番もなく、すべての“ザ・ベスト・バリュー999”が揃っていた。当然KISSも用意されている。手に取って裏を見ると・・・いつものタイトルが並んでいるだけ・・・。当然と言えば当然、彼らのベスト盤で新鮮味を演出できるのは、彼らだけだと思う。聞き飽きるほどの曲目に何となく安心して、抜き取ったCDを元の位置に戻す。と、よく見れば、キッスのCDにだけ、いつもの“KISS”ロゴが記されていた。他のCDは普通にカナ名が記されているだけなのに・・・キッス得意の“こだわり”か、それともTSUTAYAの粋な計らいか・・・どちらにしてもKISS ARMYとしては、ちょっと嬉しい気分。店を出て第一京浜沿いに歩く歩幅が、気持ち大きくなっている気がした。