この歳で“前方宙返り”を披露すると・・・後が大変~前編2/2

曇り空。右足はだいぶ動くようになったものの、左肩の痛みはまだ続いている。ワンコたちの散歩は、歩く速さが戻りつつあるけど、不意にリードを引かれると大騒ぎだ。いつものように、目一杯リードを引っ張ってから、自分の尻尾を追いかけるようにして、くるくると回り始めるネロちゃん。その動きが左肩の関節をいい感じに刺激してくれる。いつもなら目を細めるところが、今日は可愛さ余って憎さ百倍。訳もわからず叱られて・・・朝からしゅんとするネロちゃんがいた。

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KXの代わりに、mura-chanのCRF150RⅡを連れてきたryo。iguchi師匠もdora-chanも・・・気付けば周りはみんな4ストだ。フープスの谷間など、いくつか思い切れないところが残るものの、イバMOTOの“午前中”に比べれば、はるかに走りやすいMX408。久しぶりに150を操るryoも、元気な排気音を響かせている。何度かリヤタイヤを蹴り上げられて・・・フィニッシュテーブルだけは、“やる気なく”いなすRM。iguchi師匠もdora-chanも同じようにやり過ごすテーブル・・・その危険なジャンプを果敢に攻めているのは、慣れない150に乗るryoだけだった。

早めにBongoに乗り込んで、小学生がうろちょろし始める前に家を出る。昨日と同じ展開だ。相変わらずシフトレバーを5速の位置に入れるのがしんどい。Bongoで初めてMX408に行ったとき、顔見知りになじられたことを思い出す・・・「どうしてオートマにしなかったの?」と。今は確かにそう思う。これで右足じゃなくて左足だったら・・・かなり厳しい毎日になるのは間違いない。ただ、8万円の“価格差”が、その時はとてつもなく大きく、魅力的に思えたのだ。

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Bクラス、Cクラスとフルサイズが2組に分かれると、次の走行時間は40分後になる。ちょっと長めの間隔だけど、見物するにはちょうどいい時間だ。Cクラスを走る“大物”も捨てがたいが、やっぱり顔見知りの走りを応援する方が楽しい。そんなBクラスで、ひときわ元気に映ったのが・・・kusabaさんのCRF250R。ホームストレートに続くテーブルトップを大きく跳び出して、最終コーナーから、ひとつテーブルをはさんでフィニッシュテーブルへ。相方のCRF450Rと連なって走る姿は、とっても“様”になっている。一年間、関東選を戦ってきたのは伊達じゃない・・・という感じだ。

吊り革に掴まり、目の前に立つ20代後半ぐらいの女の子。Samantha Vegaのハンドバッグと、桃色の本体に紫の持ち手がついた手提げ袋を右手に提げている。その手の甲には、似つかわしくないシワがくっきりと浮かび、ところどころ赤くなっていた。皮膚がささくれだって赤く荒れているのは、スタイリストさんなのかもしれない・・・そんな思いを巡らせていると、窓の外から鉄橋を渡る騒がしい音が漏れてきた。荒川を渡り、北千住に着く直前だ。いつもの“北千住止まり”のつもりで腰かけたままでいると・・・乗客の動きが少し怪しい。「そうだ、浅草行きだった」、あやうく乗り過ごしそうになり、あわてて席を立つと・・・右足の内股に鈍い痛みが走る。まだ二日目、少しは動くようになっても、腫れと痛みが引くにはまだまだ日が浅い・・・。

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そんなCRF250Rも、フィニッシュテーブルには手を焼いているようだった。最終コーナーをアウトバンクいっぱいに立ち上がってくるから、どうしても危険な曲率を持つ轍に入ってしまう。そして、リヤタイヤが大きく跳ね上げられ、フロントローでテーブルの頂点に落ちていく。フィニッシュラインの横で大きく手を振っては、その走りを眺めて・・・何周かが過ぎた時だ。高々とテーブルトップを跳び上がり、ホームストレートを駆けてくるkusabaさん。CRF250Rがうっすらと土埃を立てながら最終コーナーを回っていく。アウト側のワタシに頷いたように見えた次の瞬間、“左から三本目”の轍に吸い込まれて斜面を離陸・・・速度が乗っている分、思いっきりフロントが下がった姿勢で跳び出すkusaba号・・・後ろからは“ほぼ垂直”に落ちていくように見えたCRF250R・・・着地してすぐ、そのフロントタイヤが捩れたと思った瞬間には、kusabaさんがヘルメットから真っ逆さまに路面へと叩きつけられていた・・・。

<負の連鎖・・・その結末は後編で>