この歳で“前方宙返り”を披露すると・・・後が大変~番外編

ようやく立ち上がったものの、右足と左腕に力が入らない。やっとの思いでマシンを引き起こし、右足の回復を待っていると・・・いつの間にかコースインしていたiguchi師匠が、奇声を上げて通り過ぎていった。癪だけど・・・追いかけられないんじゃどうしようもない。右足の痺れが落ち着いたところでRMに跨り、キックペダルに足を掛ける。曲げた右足に痛みが走って、思わず眉間にシワが寄った。1速にシフトしてフィニッシュテーブルにRMを向ける・・・真っ直ぐ走らせるには、ハンドルを左に大きく切らないとダメだ。フロントフォークの整列が、かなりズレてしまったようだ。

ミニフープスの終わりから、ひとまずコースを出る。表彰台横のカーポート、その支柱に勢いよくハンドルを切りながらタイヤサイドをぶつけて、フロントフォークの歪みを矯正していく・・・。ただ、瞬間的に力を込めることができなくて、なかなかうまくいかない。10回ぐらいは当てただろうか、何となくハンドルも真っ直ぐになってきたところで・・・エンジンを再始動してスタート地点へ。キックペダルに右足を乗せるのが、かなりしんどくなっていた。

ステップに立ち上がろうとすると、右足の太股、ちょうど膝から内股にかけての辺りが固くなったように痛む。転倒の衝撃を左肩と分けあったはずなのに、今のところ右足の方が重傷のようだ。とりあえずステップを踏み込めるようになるまで、スターティンググリッドの前で、地面に大きな8の字を描き続ける。2、3分ほど8の字走行を繰り返していると、リズムセクションにiguchi師匠の姿が見えた。なるほど、oneの“Twisted”は遠くからでもよくわかる。こちらをチラッと見てホームストレートから最終コーナーに消えるiguchi師匠・・・その姿を追うようにRMもコースに戻っていった。

ステップに立ち上がったままでのブレーキング、ジャンプの着地、そして左コーナー。右足に負担のかかるところでは、下半身が崩れてしまって・・・いつもの調子では走れない。転倒後のクール、湿布を貼って少しは調子が上がると思っていたのに・・・そう甘くはなかった。一部始終を見ていたdora-1が真剣な顔で心配するぐらいだから、そんな簡単に痛みが引くこともないか・・・・。3時からの最後の10分でも、借り物のCRF150RⅡを操るryoに引き離されて、saitoさんには「パパ、元気なーい」と言われる始末(ryoは得意のジャンプを褒められてご満悦だ)。kusabaさんから差し入れてもらった“クエン酸”を注入しても、結局フィニッシュテーブルを跳び切ることもないまま、チェッカーとなった。

転倒の怪我は、時間とともに酷くなるもの。太股の張りと気分が悪くなりそうな肩の痛みに耐えて、何とかマシンと荷物をBongoに収める。iguchi師匠と二人、ニセmanabuのグチを聞いていたら・・・すっかり日が暮れてしまった。すでにMX408の“門限”だ。急いでBongoに乗り込み、コースを出ていく。店に寄る“元気”を帰りの運転に回して、今日のところは真っ直ぐ帰路に着く。今度の土曜日は・・・肩にサポーターを巻いて走ることになりそうだ。ryoとは反対の左肩に・・・。