返したくても返せない・・・5

時間が経つにつれて、左肩と右足に残された傷が痛み出す。まだ一週間しか経っていないから、転がった記憶もかなりはっきりしている。その記憶が、滑ってもなお挑戦しようとする気持ちを邪魔していた。

フープスへの“入り”も中途半端、おかげで最後から二つ目の谷間にフロントタイヤが落ちてしまって・・・出口では半クラッチを当てる始末。そこで車速が落ち込む分、iguchi師匠を追い抜くまでにはいかない。口惜しいけど、追い詰めるだけで終わってしまう。逆回りのコースを走らずに逝ってしまったmura・・・結局このフープスの怖さは、知らず仕舞いだ。

そう言えばShow-Gにもらったピレリのタイヤ、リヤが一本まだ残っていた。「そろそろ替え時か・・・」なんて思いつつも、いくぶん真っ直ぐになってきた背骨が、緩んだ路面にリヤタイヤを押し付けている。午後になると、乾いた土の上、横からタイヤを蹴飛ばされたかのようにリヤが滑り始める。ホームストレートの入口もそうだ。最終コーナーの後ろで腕組みしているsaitoさん・・・別にこっちを見ているわけじゃないだろうけど、何となく「頑張らないと!」って気持ちになってしまう。

精一杯の加速を見せて最終コーナーに近づくRM。バンクの頂点を食み出しそうになりながら、右に回って・・・フィニッシュのテーブルトップ。刻まれた轍にタイヤを取られては、無様なジャンプを繰り返す・・・もう少し“土”が馴染んでくれないと、muraが最後に見たRMのようには跳べそうにない。

<次回に続く>