ここまで話が合うとは・・・歴女、侮りがたし~2

<12/18の続き>

背もたれが完全に倒されて、足元の床と水平になった椅子。左肩をかばいながら、その椅子にゆっくりと横になる。手を添えてくれているのは歴女、ちょうど腰から膝の中間辺りに頭が来る格好だ。いつしか時は巡り、幕末から遡ること三百年余り・・・話の中心が戦国時代に移っていた。最近の歴女は、国持ちの武将に飽き足らず、一介の家臣にもご執心が多いとか。「好きな武将はいるの?」と訊くと、「前田利家!」と即座に答える。信長の家臣という辺りが歴女らしい。『花の慶次』で描かれている“前田慶次郎”。天下無双の傾奇者、その叔父に当たるのが利家だ。槍の名手で傾奇上手、作中ではあまり良くは描かれていないが・・・「利家の方が“傾奇者”だよね」と、二人して盛り上がる。でも、こんな話が出来るとは・・・歴女も侮れない。

今のワタシには意味がなさそうな“頭皮に良い”というシャンプーを使って、両手で頭を包み込むように洗ってくれている。目を閉じていると、そのまま眠りに落ちてしまいそうなほど、指の動きが心地良い。眠らずにいるのは歴女の博識のおかげ、利家と同じく信長子飼いの将「佐々成政」を「あまり好きじゃない・・・」と言い切るところが本物だ。利家とは知名度が違う、名の知れていない彼の素性を知っている風な物言いに思わず、「秀吉派なんだ」と切り返す。俗説ほどに悪政を強いたとは思っていないが、彼女はそれを半分信じているようだった。「どちらかというと・・・そうかもしれないです」、そんな彼女に「じゃあ柴田勝家は・・・好きじゃない?」と訊いてみると、「いえ、勝家は好きですよ。でも、お市の方様とは結ばれてほしくなかったなぁ・・・」。これまた、語るものだ。

<歴史談話で盛り上がる美容室の一角・・・楽しいひとときはまだ続く>