歴史大好き

東西

カラオケさえ許されない今、残された慰みと言えば、時代を遡ることくらい。戦国時代のrealを追いかけながらも、ifやwhyに思いを馳せる。それも浪漫だ。そして、時は、慶長五年。世に言う天下分け目の渦中を、今、泡盛片手に俯瞰する。それぞれの思惑を読み切…

矜持

義に死すとも不義には生きず 松平容保の矜持に思いが至る。関東人の身贔屓なのだろうか・・・・・・心震えるものがある。が、さにあらず。 その心、会津魂は永遠なり。

光秀の定理

定理。三省堂によれば、「公理・定義によって証明される、一定の理論」らしい。一定の理論、すなわち一理であり、理。この小説の縦を紡ぐのが、この「理」だ。 情景を描くのも洒脱で、永禄、天正の御代が蘇る。読後の清涼感は、ひさしぶりに良書に出会えた気…

上田原に散る

目の前で膝を着き、両の腕を大きく広げ、地を這うその低い声で一言「なりませぬ」と凄まれようものなら、誰でも動きを止めることだろう。御館晴信の守り役にして、武勇に聞こえた板垣信方。その真の姿が、液晶に映る黒装束の立ち居振る舞いに重なって見える…

今宵は・・・

川中島からすっかり火の着いた「焼け木杭」。その初めの「火花」に見入る夜が、寝不足のあくびを誘う。途中でryoが生まれる88年。この年の大河というのも、どこか縁の深さを感じる。時間が許す限り、ずっと見ていたいけれど・・・今宵は、ここまでにいたしと…

八幡原にて

時に晴信公に惹かれて、時に政虎公に心酔す。 永禄四年初秋、千曲川流れる北信の八幡原に、その龍虎がついに激突した。後年、羽柴秀吉が「はかのいかぬ戦をしたもの」と嘆息したと言われる戦いは、互いに数多くの死傷者を出しながらけして崩れることなく、つ…

saraba

六文銭の赤備えも今宵が見納め。 日曜の夜も、これで寂しくなる。 生きた証を残すなんておこがましいけれど、男子たるもの、憧れはある。数年ぶりにレインウェアも手に入れたことだし、春になったら上州上田まで、ツーリングに出かけてみようか。六文銭の軍…

信尹

生まれてこれまで、そんなことを言われた記憶がない。見つめていた視線がその顔から離れて、ふと宙をさまよう。「好きにすれば」と吐き捨てられたことはあるけれど、手がそっと肩に触れて言葉をかけられたことは、ついになかった。 史実なら齢四十八の信繁も…

越後の雄

佳境を迎えた大河ドラマから遡ること三十余年。天下に夢を見る最後の刹那が、熱く迸っていた天正十年から、物語が始まる。 しばらく遠ざかっていた栞も、都内に出かける日が続いて一気に進み、ようやく冬の陣に追いついた。大阪城を外から眺める視線は、大河…

関東の徒花

ドラマも大坂方滅亡への序章に・・・。 いくつもの数え切れない「たられば」。歴史を知るには、いつも少しの勇気が必要になる。浪速に咲く関東の徒花。その姿に引き込まれていく。

313年の時を超えて

「14日といえば、月は変われど殿のご命日」 この件で始まる忠義の仇討ちは、313年前の話。平成の御世も四半世紀を過ぎては、忠義なんて言葉はすっかり無用になってしまったらしい。新聞のテレビ番組にも「忠臣蔵」の文字を見つけるのが難しくなった今だけど…

真田丸

武田勝頼がついにその姿を望めなかった新府城に徳川家康が拠り、北方の海津城から寄せる北条氏直と対峠する。信濃に北条と徳川の名が跋扈することに奇異を感じながらも、天正壬午の乱で知られる三つ巴の旧武田領争奪戦は、信長の跡目争いの陰にすっかり隠れ…

驍将

「彼の一生は失敗の一生也。 彼の歴史は蹉跌の歴史也。 彼の一代は薄幸の一代也。 然れども彼の生涯は男らしき生涯也」 歴史の授業は、たくさんを教えてはくれなかったらしい。芥川龍之介がかく語る木曾義仲を、もう少しだけ知りたくなった。

足利直義って誰?

ずっと信じて、信じきって、疑うことすら考えられない。そんな子どもの頃の常識が、「新しい研究成果亅の名の下に、わりと簡単にくつがえされる。確かに真実は一つ、誤りは正すべきだ。でも、この絵はずっと源頼朝で、「いい国造ろう」のフレーズと一緒に、…

一乗谷城の戦い ~後編2/2~

女子高生と若い背広姿の間に、そっと腰を下ろす。江戸風に言えば「こぶし腰うかせ」してくれたのは、右隣りになった女子高生のほうだった。自前のノートに目を落とし、文字を追っては瞳を閉じて、少し上を向く――チラリと横目で、蛍光ピンクのマーカーが引か…

一乗谷城の戦い ~後編1/2~

結局電車が動きはじめたのは、30分遅れの9時20分。その知らせを待って家を出て、まったく同じ道順をたどり、もう一度駅を目指す。太陽はすっかり高く浮かび、風は強く吹いているけど、日向を歩けば前かがみだったカラダもゆるんでくる。切符売り場の上にある…

一乗谷城の戦い ~前編~

いつもは駅から歩いてくる人なんかほとんどいないのに、駅前に通じる小路を曲がるまでの間、北風に押されるように何人もとすれ違う。ちょっと不思議に思っていたら、駅前の小さなロータリーにはタクシー待ちの行列ができていて・・・暗がりのホームには区間…

No place for hiding. No place to run.

陽が射して、見る間に霧が晴れた。青い空の下、寝ぼけたように霞んでいた通りの横断歩道が、いつしか白く光り輝いている。その眩しさに、carryのディマースイッチを手前に回して、前照灯を落とす。雨上がり、微風。この時期にしては、暖かい朝だ。「ホント、…

「93位」の漢

この時代に憧れを抱く人は、かなり多い・・・ワタシも、そのひとりだ。 『日本史上最強の武将は誰だ?』というムック本が、コンコースにある書店の棚につき刺さっていた。ちょっと毒づいた感じのイラストで、表紙の白装束は織田信長。槍を片手に、本能寺で奮…

その“涙”のワケは?

行きつけの美容室「Brook ark」、そこに歴女がいる。その彼女なら何と言うだろう・・・勝家とお市の最期を。大河ドラマ『江』、前半の山場であろう北ノ庄の落城は、ワタシには楽しめる筋書きだった。史実がどうであったか、共に自刃した事実だけでは知る由も…

ここまで話が合うとは・・・歴女、侮りがたし~終

<ちょっと“間”が空いてしまったけど・・・12/21の続き> 温めのお湯が額からうなじへとゆっくり流れて、甘い香りもどこかに消えてしまった。平家物語の前ともなると、さすがに話の行き場もない。興味があるのは大化の改新でも平城遷都でもなく・・・古事記…

ここまで話が合うとは・・・歴女、侮りがたし~3

「ところで好きな武将は?」と訊かれて、少しだけ考える。頭皮のマッサージは、手遅れ気味のワタシの頭にも気持ちがいいわけで、そのフワフワした感覚の中で、武将の名前を挙げては消し、消しては挙げてを頭の中で繰り返す。「・・・謙信、上杉謙信かな?」…

ここまで話が合うとは・・・歴女、侮りがたし~2

<12/18の続き> 背もたれが完全に倒されて、足元の床と水平になった椅子。左肩をかばいながら、その椅子にゆっくりと横になる。手を添えてくれているのは歴女、ちょうど腰から膝の中間辺りに頭が来る格好だ。いつしか時は巡り、幕末から遡ること三百年余り…

ここまで話が合うとは・・・歴女、侮りがたし

会社の最年少、歳は23だから・・・ryoとひとつしか違わない。その彼が絶賛していた「ヘッドスパ」を試してみることにした。 開店記念のくじで引き当てた“ヘッドスパ半額券”を手にして、春日部駅の西口へ・・・。提携している駐車場にBongoを停めると、ユリノ…

天晴!おまえは石田三成か?!~もうひとつの6月12日

太閤秀吉が死んで上方の空気が一気に徳川家康へと流れ始め、折しも豊家の亀裂が軋んで焦臭くなってきた時分に、その“事件”は起きた。“事件”ではなく“暴挙”と呼ぶべきか・・・不仲の加藤清正らに命を狙われ、あろうことか敵対する徳川家康の屋敷に逃げ込んで“…

いまだ出逢えぬ高遠の桜~その2

吐く息が白く流れる。こぶしを握り締め、指先の冷たさを手のひらで温めながら、雨上がりの歩道を歩いていく。やや背中を丸め、うつむいて歩く足元に、街路樹の桜が花びらを撒き散らかしていた。花びらは木々の周囲に広がり、雨の痕が残る歩道に桜色の影を落…