ここまで話が合うとは・・・歴女、侮りがたし~3

「ところで好きな武将は?」と訊かれて、少しだけ考える。頭皮のマッサージは、手遅れ気味のワタシの頭にも気持ちがいいわけで、そのフワフワした感覚の中で、武将の名前を挙げては消し、消しては挙げてを頭の中で繰り返す。「・・・謙信、上杉謙信かな?」、高名で人気のある武将の名前が出て、彼女も納得の表情だ。と言っても目を閉じているので、声の調子で想像しただけ・・・。

「格好良いですよね」の第一声から、酒好きでちょっと下膨れた顔つき、”実は女性だった?!”という話まで飛びだして・・・「よく知ってるねー」。彼女と会話を始めてから、何度この言葉を口にしただろうか。川中島には行ったことがないと話す彼女に、「戦としては謙信の勝ち戦」と思っていることだけを伝えて、両軍が激突した経緯や武田信玄の弟で、贔屓にしている武将の一人「武田“典厩”信繁」の最期に触れることは止めておいた・・・それこそ時間がいくらあっても足りなくなりそうだ。

一回目のシャンプーが洗い流されて、微かに甘い香りのする液体が頭全体に伸ばされていく。「これも髪には良いんですよ」と、どう見ても”無駄な抵抗”のワタシの髪を丁寧に揉んでくれている。気持ちがいいのは変わらず、時代はさらに遡って・・・源平の戦いに。信長の愛した“敦盛”、「人間五十年・・・」の一節が有名な幸若舞の演目だが、その原典である「平家物語」に話が飛んで、どちらからともなく「源平、どっち派?」ということに・・・結果はワタシが平家、彼女が源氏と正反対になった。そのとき平家贔屓の理由を話した記憶は残っているけど、なぜ源氏好きなのかは訊きそびれてしまった・・・。

<日本最古の歴史書まで時間旅行は進む・・・次回、最終話?!>