明日からは少しずつゆっくりと・・・明るい時間が増えていく

風に煽られて出窓を叩いていた雨。その雨も朝には上がって、黒く澱んだ雨雲が日の出とともに色を無くしていく。「11月初めの気温になる」とui-chanが話していた。外に出ると、確かに風は南から吹いていて、生暖かい。11月と言うよりは春先の陽気、雨上がりに吹く、強めの南風・・・花粉症にはちょっと鼻がムズムズしてきそうな朝だ。

年々冬が苦手になっていく。ついこの間まで、雪が降れば何かワクワクした気持ちになっていたのに・・・身体が老いたのか、それとも心がすり減ってきたのか。とにかく「早く暖かくなって!」と、夏が過ぎてから、ずっとそう思っている。そんなワタシにとって、今日、冬至はうれしい日だ・・・一年で最も昼の短い一日は、温もりにも似た穏やかさに覆われていた。

寒いだけが理由じゃない。日の入りとともに宵闇の迫る時間がだんだんと早くなって・・・冬の長い夜は、寂しくてたまらない。冬嫌いになった大きな理由だ。そんな思いも、今日からは少しずつ薄れていくはず・・・どんどん昼間の時間が長くなっていくわけだから。10時の少し手前、所用で出かけたJR田町駅。改札を出てから空を見上げると、北の空には、まだ煮えきらない灰色が残されていた。足元では、南からの陽射しに照らされたペデストリアンデッキが白く光っていた。

気ぜわしく感じるのは、年末が近づいているからか?休み前に終わらせなければいけないことがたくさんあって、楽しみにしている『相棒』は今日も見られそうにない。今晩で終わりにできるような“都合の良い”仕事もなく・・・結局適当なところで切り上げて、ネオンに照らされた街に出る。角にあるコージーコーナーが、明日から露店でケーキを売るのだろう、ケーキ販売用のショーケースを歩道に持ち出していた。街が何となくウキウキしているのは、この時期ならでは。この雰囲気が・・・冬にあって唯一気を許せる瞬間だ。

昼間の太陽が月に代わって、そのまま残っている・・・そう感じるほど、夜になっても寒さがやってこなかった。冬至には暖かすぎる夜・・・ただ、それも埼玉の片田舎に着く頃には、吹く風に冷たさが宿り始めていた。コートを着るほどではないが、ゆっくりと冬らしさを取り戻していて・・・明日は寒い朝になりそうだ。見上げれば、白くて小さな月が、空高く輝いている。一日遅く今日だったら・・・冬の夜空に皆既月食がきれいに映されたことだろう。要らないと思っていたクルマのヒーターを入れると、冷たくなった足下が少し喜んでいるようだった。