氷点下で始まった“冬フェス” in 谷田部~第四話

危うく本当の“ヤマカガシ”になるところだった・・・。一旦パドックに戻ってから、気を取り直して再びコースへ。思いっきり開けられないもどかしさと戦いながら、コースを出たり入ったりの繰り返し。パドックに集まったトランポの数に比べて、走っているマシンが少ないような気がするけど・・・「クラス分けがないと、こんなもんだよ」。素朴な疑問に隣でうそぶくのは、408組の主宰saitoさんだ。元IBも、今日はずいぶん大人しい排気音で走っている。自重し過ぎているような気もするけど・・・さすがに夏フェスと同じ真似は出来ないようだ。あの忌まわしい“コータロージャンプ”も、すっかり整備されて・・・真夏の面影は消えかけていた。

そんなsaitoさんを尻目に、元気が良かったのはmachi-san。CRFよりもKX80がえらく気に入ったようで、「これ、面白い!2ストもいいなー」。大柄なmachi-sanが跨ると、やっぱり「ミニモトなんだ」と実感だけど、本人は真面目に楽しんでいる。「時代は2ストか?!」と、ざりままさんも横でにんまりだ。こんな他愛のない話で盛り上がる408組・・・この“間”がたまらなく楽しい。そして、その楽しい雰囲気のままコースに戻ったはずなのに・・・再び哀しい出来事に見舞われることになるとは・・・夢にも思わなかった。

技量が伴わない“全開走行”を諦めて、路面状況に合わせた走りに慣れてきた頃だった。出入口に面した左のヘアピンを立ち上がると、“ガラッ”と鈍い音とともに、いきなりRMが失速・・・「えっ?!焼き付いた?」とエンジンを覗き込んでみたけど、駆動が抜けた感じは焼き付きではなさそうだ。そのまま左後ろを見ると、チェーンがだらんと土の上に落ちている・・・「ああ、チェーンが切れたか・・・」。初乗りも「午前中で終わりか」と、マシンから降りてもう一度チェーンをよく見てみると・・・チェーンの“輪”が途切れている様子はなかった。代わりに・・・何と!チェーンスライダーが外れているではないか。

何とも締まらない話・・・年末にスイングアームを外した時、きっちり締め付けるのを忘れたのだろう。3本のボルトがすべて無くなるなんて、普通じゃ考えられない。雑な整備を責める相手が居るわけもなく、でんかさんと皆勤賞男に”介助”されながら、ひとまずパドックへと帰っていく。「今年は不測のトラブルに見舞われるのか?!」、一瞬そんなことも頭を過ったが、これは”不測”じゃない。明らかに”整備不良”だ。ただ、走行不能にならずコースに復帰できたのはありがたかった!二周目のコースアウトといい、笑って許せる“範囲”なのが、何ともいい感じ。今年も万事“何とかなる”気がしてきた。

<最後は単なる笑い話?!・・・次回に続く>