恵みの雨ならぬ雪!?~第5話

オイル交換はKXと同じくコースに行ってからだ。プラグを買いに行く前に・・・「たぶん大丈夫だろうけど」とラジエターのキャップを開けて冷却水の量を見てみる。するとどうだ、少し液面が下がっている!「もしや・・・」とミッションオイルの注入口、黒いキャップを左に回して、外れたキャップの裏側を確かめてみると・・・灰色に変色したオイルが数滴、それを知らせるかのように付着していた。「ウォーターポンプもかぁ」・・・さすがに、この状態のまま走るのは気が引ける。“ジョイフル本田”に行くのはあきらめて、早速ウォーターポンプとシールの交換作業に取りかかった。

幸い、こちらは交換部品を調達済み。RMの持病、定期交換部品みたいなものだから・・・。マシンをいったん外に出してエンジンを暖機、ミッションオイルと冷却水を抜き取る。強い風は相変わらずで、流れ出る液体のすじが、風にあおられ、時折受け皿の外に落ちていた。外での作業が終わり、ガレージでRMの右クランクケースカバーを取り外しにかかる。風がなくなった分、あれほど寒いと思っていた空間も、どこかに“暖”でもあるかのように暖かかった。

何度も繰り返している作業は、我ながら手慣れたものだ。厄介なシールの取り外しもあまり苦労しなかったし、ここでも一番面倒だったのは、変色したオイルに汚れたエンジンの中をキレイにすることだった。パーツクリーナーを、それこそ“湯水のように”使って、残ったオイルを洗い流していく。手作業でない分、ホイールの清掃よりも楽ちんだ。新品のオイルシールとインペラが組み付けられたクランクケースカバーを、無理強いせず、左右に小刻みに揺らしながら、ゆっくりと、接合面と平行に、そして力を入れないようにして収めていく。

これで、“本当に”走れる状態になったRM。気がつけば、外はすっかり夕空になっていた。ミッションオイルと冷却水の注入はコースでも大丈夫だし、外に出しっぱなしの250EXC-Rをガレージに戻して、長いメンテナンスの一日をおしまいにする。すみ切った漆黒の空を、風が音を立てて渡っていく。天気が悪くなるとは思えないけど、これから夜積みするには空気が冷たすぎる。ryo渾身の黒い外装も、取り付けるのは明日・・・すべてを日曜日に回して、ガレージのシャッターを下ろす。指先に触れるアルミ製のシャッターが、氷のように冷たくなっていた。

<先週の話が終わらないうちに明日はMX408へ・・・次回(最終話!?)に続く>