恵みの雨ならぬ雪!?~最終話1/2

夕食が終わる頃になって、バイト先のryoから電話がかかってきた。バイトの最中に連絡してくるのは珍しい。「雪、降ってるけど・・・」。あわててカーテンを開けると、窓の外を細かな白い粒が舞っている。ファンヒーターがいくら頑張っても室温が上がらないわけだ。でも、降り積もるような密度はなくて、どちらかと言えば“お洒落”な粉雪、傘も差さずに時折雪を払う姿が似合いそうだ。街灯の光を浴びて、きらめきが静かに夜気に流れている。

何も用意しないまま、窓越しにうっすらと湿ったアスファルトを眺めてからベッドに潜り込む。雪は確かに止んでいた、次に目を覚ますまでは・・・。丸一日の整備疲れと、12時をかなり回ってから眠りについたせいで、6時に起き上がるのはつらかった。全く勢いを感じさせない、もぞもぞとした動きでベッドから這い出ると、寝ぼけた足取りで階段を降りていく。早番のkeiは、もう出かけているようだ。やけに明るい出窓のカーテンを開けてみて、あまりの白さに驚かされた・・・。

窓から見えるすべてのものに、白く雪が積もっている。しかも、まだ降り続いている。すでにドリップしてしまった珈琲をすすりながら、ゆっくりと落ちる雪を少しの間ただ見ている。外から降り落ちる音が聞こえてくるようだった。聞こえない音を聞いていると、だんだんと頭の中が冴えてきて、今日は走りに行かれないことだけがわかってきた。「とりあえずもう一眠り」・・・まだ醒めきれない身体を、再び二階のベッドへと連れていく。まくりあげた布団には、体温の温もりがかすかに残っていた。

<また派手にやらかしたので・・・本当の最終話は次回に!>