夕べの話

風邪を引いた。いつもとは感じの違う、質の悪いやつだ。高熱が出るわけでもなく、のどが腫れるわけでもなく、頭が痛くなるわけでもない。37.5℃の微熱と下痢、吐き気・・・およそ大人になってからは経験した覚えのない、どこか子供の頃を思い出すような症状が、見事なまでに気弱にさせてくれる。

早めに仕事を切り上げて、駅に急ぐ。歩いていることに胃袋が刺激されたのか、一気に気持ち悪くなってくる。改札の手前、生唾が口の中にあふれてきて、これ以上動いたらいけないと思うほどの吐き気におそわれる。改札に入るのを少し待って、夜風に当たりながら呼吸を整える。このままタクシーで帰ろうかと思ったぐらいだ。

電車に揺られるのは不安だったけど、周りに迷惑をかけることもなく東武動物公園に到着。「ノロウイルス?!」かとも思ったけど、下痢も吐き気も落ち着いて、残ったのは微熱だけ。どうやら風邪らしい。いつもの“荒療治”、わざわざ風呂に入って体温をさらに上げる。熱で風邪菌を駆逐するやり方は・・・昔から。

いくら追い焚きをしても、肌にお湯の温かさが染み込まない。鳥肌が立ったまま、かなり熱も上がってきたようだ。ツーリング先で熱を出して、日帰り温泉をハシゴしながら帰ってきたことを思い出す。あのときも・・・まったくと言っていいほど、お湯に入っている感じがしなかった。

風呂上がり、吐かない程度に水をたらふく飲んで、ベッドにもぐり込む。フトンの中で両足を擦りつけていないと、寒くてたまらない・・・掛け布団を首の周りに隙間無く巻き付けても、首筋から肩口にかけて冷えた感触が伝わってくる。久しぶりの発熱で、どうにも寝付けない。ようやく眠りにつけたのは・・・氷枕を用意してもらってからのこと。ありがとう、kei。