武者修行と言うには・・・あまりに情けなく~第七話

しばらく後ろに着いて、こちらもわかったことがある。下りで差が詰まるということに。“惰性”で走っているのか、加速せず、坂の途中からはエンジンブレーキをかけて次のコーナーに備えているようだ。ここだけで、師匠の背中がぐっと近く、大きくなる。ただ、その後は、ワダチにきっちり入れて、ブレずに加速していくCRFに逃げられて・・・なかなか仕掛けることができない。

音にしろ、色にしろ・・・RM85Lは捨てたものではない。いまやミニモトクラスでも少数派の2ストロークマシン。細く耳障りな高音が、途中で引っ掛かることなく、一気に空へと延びていく。さらに、照りつける太陽の下よりも、むしろ曇天の暗がりでこそ色鮮やかな黄色。その音と色が、前を走るCRF150RⅡに圧力をかける。iguchi師匠には見えているはずだ・・・後ろに居る#274のRMが。そのせいか、着いたり離れたりしているうちに、CRFのリヤが大きく暴れるようになってきた。でも・・・そこまでだった。師匠のCRFが破綻することなく、RMがその前に躍り出ることも無く・・・CRF、RMの順に仲良くコースアウト。11時50分、午前中は師匠に軍配で終了だ。

<午後はリベンジなるか・・・次回、最終話?!>