大人ゆえに・・・お楽しみは来週にお預け~終1/2

“それなり”の決心がつくことはなく、すっきりとしない気分のままホームストレートへと戻っていく。アウトバンクから翻って斜面、その先に見えるテーブルトップを捉えた途端、なぜか気持ちがすくんでしまう。RMの両輪は地面を離れることなく、“へ”の字をそのままなぞって走る・・・何度やっても大体同じ、崩れたリズムは最後のテーブルトップでようやく戻る、その繰り返しだ。

フッ切れない自分にいらつきながら、右コーナーを大きく回り込んでフープス。ryoが前を走っている。あっという間に近づくKXの後ろ姿、あきらかに何か“企んで”いる走りだ。S字コーナーの切り返しで、一瞬後ろを一瞥すると、ゆっくりと確実に車体を加速させていく。真っ直ぐに進むKX、操るryoの背中から「ついてきて」と声が聞こえた気がした。

小さなテーブルトップでリヤを右に流し、アウトバンクで素早く反転。「跳ぶなら跳ぶ。中途半端が一番ダメ」・・・A父の言いつけどおりKXを加速させるryo。甲高い排気音が響く。「いくか?」、後ろで速度を落としながら、緑の車体の軌跡を目で追う。ブレることなく跳び出したKXが、緩やかな放物線を描く。そして、そのリヤタイヤは確実にテーブルトップの平坦な部分に着地・・・跳び越えやがった。

「跳べちゃうと、なーんだって感じ」。A父が話したとおりだと言う。そう言えば旧4連ジャンプの時もそうだった。あの時もryoに先を越されたっけ・・・。完全に満足したryoはこのクールで切り上げ、最後の10分は、単騎、弱気な自分と闘うことに。

<次回はいよいよ最終話>