エクストラ・スーパー・ムーン!

晴れの日はいい。光に照らされているだけで、何かをしたくなるから。それが暖かな陽射しなら、なおさらだ。朝から曇り空、夕方には雨が降り出す天気予報も、どうやら外れてしまったようだ。散歩に出れば足取りも軽く、今日は朝から河川敷。見渡せば遠くにゴルフの練習をしている人が一人・・・ならばと、自由に走らせてやる。蒸気機関車のように忙しない息づかいはシロだ。すぐに長い舌をだらりと垂らしながら、頭にお尻にと突っ込んでくるネロちゃんを面倒くさそうに追い払っている。狩猟犬の血が混じっているのか、ネロは速いし持久力もある。切り返しの動きも俊敏だ。

うっすらと額に汗が光る。Tシャツの背中も少し湿っているようだ。土手の上で、しばらく風に洗われてから、来た時と違う道をたどりながら家に戻っていく。日曜日とは言え、バス通りを走るクルマが妙に少ない。待つことも無く、すんなりと渡れてしまう。テレビでは『ONE PIECE』が始まっている時間。小振りな耕耘機が畑を掘り起こしては、後ろに土埃を流している。瞬間、シロのリードを握る右手が動いた。ドアノブを捻るように・・・二回・・・。土手から降りてしまえば、風も届かない。ぼやっと膨らんでいくような晴天が、ちょっと恨めしくなってきた。如何、如何・・・。

日頃の罪滅ぼしとばかりに“節エネルギー”、BMXを引っ張り出して隣町まで・・・と言っても、わずか数キロの道のりだ。日用品を格安で売っている店に立ち寄ると、商品棚は“虫食い”状態。物流が滞っているだけの話と思いたい・・・帰り道、近くのガソリンスタンドの前には「ガソリン、ありません」の文字が、黄色いビニールの立て看板に、手書きされていた。そのまま、“あみだくじ”のようにあぜ道を手繰っていく。来週には走れるといいけど・・・と思いながら、ペダルに力を込める。極端に低いギヤ比のBMXは、拍子抜けするほど軽くペダルが上下して、抵抗を感じることなく坂を上っていった。

「今日も明るいうちに・・・」のつもりでいたら、ネットで面白い記事を見つけた。シロとネロには申し訳ないけど、おかげでこの時間まで散歩に行くのを待ってしまった。“今日”の月は今年一番大きな満月なのだとか・・・。今日、月が最も地球に近づく(正確には4時9分というから・・・もう過ぎてしまっているけど)ので、当然大きく輝いて見えるというわけだ。最も小さい満月と比べると、一割以上も大きさが違うと言う。夕暮、西の空に雲が広がっていたから、ちょっと期待できないかもしれないけど・・・二匹を連れて見に行ってきますか。願い事、叶うかもしれないしね!