いらっしゃい!

我が家にも福島から避難者がやってきた。keiの“知り合い”だ。年老いているそうだから、大事にしてあげなくては・・・と、少し早めに帰って様子を見るはずだった。それなのに、会社を出るのがすっかり遅れてしまって・・・東武動物公園の駅に着く頃には、頭上に真冬を思わせる冷たく眩い星空が広がっていた。

玄関の前に立つと、中ではシロが大騒ぎ。甘えたように鼻を鳴らす声が、外にまで漏れてくる。時折混ざる高い声は、ネロちゃんだ。毎日変わらない二匹の“歓迎ぶり”は、何カ月も会っていないかのよう。扉を開けると、大きな身体を振りまわすように喜ぶシロ。プラスチック製のゲージが壊れんばかりに、前足を外に出そうと懸命だ。

シロのゲージの上では、ネロが大人しく座ったまま、こちらを見ている。どうやら福島からの“お客さん”に馴染めないでいるようだ。そのネロちゃんの視線の先で“ルイちゃん”が寝そべっている。はるばる福島からやってきた雑種のメス犬、13歳はタロよりも一つ若いけど・・・立派なご長寿犬だ。ずいぶん大人しい“彼女”は、歳のせいか寝てばかりいる。

玄関先で、持参したタオルケットの上で丸まって眠るルイちゃん。タロのように凶暴なことはなく、素直ないい娘だ。その丸い背中だけを見ると、タロが帰って来たような不思議な気分だ。大変な状況になっている福島原発の避難地域から、家族は幸手のアパートへ・・・そして、ルイちゃんが我が家へ・・・。これで被災地を支援できているとしたら、ちょっぴりうれしい。