埃立つ乾いた路面と馴染みの微笑に・・・気分は上々!

「あっ」と思う間もなくRMの車体が左に起き上がると、壁と化したコースサイドに身体が擦りつけられていく。左足のブーツが砂利混じりの土を削り始めた時には、シートから尻が外れて、後ろに振り落とされていた。右足をステップから離して突き出していたせいか、割にあっさりと落とされた気がする。「止まれ!」の思いとは反対にスロットルを開け続けている右手に、RMが従順に加速を続ける。ハンドルを握ったまま伸びきった両腕は、端から見れば“ウルトラマン”だ。ほんの1、2秒、引きずられる身体を何とかシートの上に戻そうと走ってみたものの、自らの重量だけを運ぶRMは、軽々と坂を駆け上がっていく。そして、その右手の人差し指がブレーキレバーから離れては・・・万事休すだ。

一度壁に激突してから、反動でコースに倒れ込むRM。ワタシの身体も一緒に右へ崩れ・・・右の手のひらで受け止めた路面が、直接、右肩の関節を叩いた。何とか身体は起こせたものの、RMを引き起こそうとしても右肩が言うことを聞いてくれない。「肩、大丈夫?」、すぐ後ろを走っていたiguchi師匠が、後続車からブロックするようにマシンを停めていた。壁の上で見ていた、okano師匠もsaitoさんも心配顔で声をかけてくる。しびれた右肩を左手で押さえ、首を横に振りながらコース脇の壁に座り込んだ・・・これだけ投げやりでわがままが許されるのも、MX408ならではだ。

<やはり“ホーム”はいい気分・・・続きは次回に>