練習という名の週末~スタート練習

各クラス二本ずつのフリー走行が終わると、ちょうど11時。いつもなら気合いの入る時間帯が、今日はイベントに充てられている。ただ、せっかくの“復興支援イベント”に参加しない理由はない。ryoと連れ立って、案内されたようにスターティンググリッド前へと走っていく。“スクール好き”のざりままが、今日はどうしたことか見学を決め込んでいた。

午前と午後の二回、現役のIAライダーが講師となって教えてくれる贅沢なライディングスクール。ミニモトのAクラス、午前中の授業は・・・「スタート練習」からだ。今まで失敗を繰り返しても、あまり気にしなかったけど、レースで勝つにはスタートは出られた方がいい。イバMOTO前だし、いい練習ができそうだ。

先生は辻健二郎選手。まずは三本、思い思いに“自分流”のスタートを披露するところから授業が始まった。スターティンググリッドの前は、固い土の上に砂が乗った、いわゆる“喰い付きの悪い”路面。真っ直ぐ走らせるのは辛いけど、スターティングバーが無い分、落ち着いてクラッチレバーを放せて・・・それはそれで気分がいい。

リヤタイヤの回転を進む力に変えてあげる・・・つまりは、バイクの駆動力を効果的に路面へと伝えるために、いくつかのコツを教えてもらって、再び思い思いにスタート練習を始める。練習と言っても、とにかく全開で第一コーナーまで加速していくだけ。直線番長として、これ以上痛快な練習はない。埃まみれの空気を吸いながら、吹け切るまで回されているRMは、少し可哀そうだけど・・・。

子供も大人も、みな全開。我先にと並んでは、ロケットスタート。そして、リヤタイヤが遠慮なく土埃をあげて、第一コーナーへとまっしぐら。先生はもちろん、周りで見ている人も、すっかり埃にまみれている。ざりままもそう。そんな埃に煙る中、甲斐甲斐しく足台を置いては、スタートしたらすぐに回収を繰り返すお母さん・・・キッズの親御さんたちも気の毒なくらいの土埃が、途切れることはなかった。

気がつけば、車体が左右に振られることも、リヤタイヤが好き放題に空回りすることも少なくなって・・・「これなら毎回ホールショットも夢じゃない」ってぐらい、真っ直ぐに第一コーナーへと駆けていくRM。左に曲がった先にあるミニフープスも、スタート地点からだと進入角度が緩いせいか、調子良く跳ねていける。笑っちゃうほど楽しい授業、それも・・・そろそろ終わりかな?

授業の“締め”は、全員揃っての模擬スタート。先生の粋な計らいだ。三回やって失敗したのは一回だけ。その一回も、スターターの合図を見ていなくて出遅れただけで、第一コーナーまで、車体が安定したまま加速していったのは、三回とも同じ・・・そういう意味では、一度も失敗スタートは無かった。辻健センセ、ありがとうございました!

<次回に続く>