練習という名の週末~チャリティオークション

スクールが終わって、昼休み。ざり家の軒先にお邪魔して、ささやかな昼の宴の始まり。といっても、お決まりのカップ麺。今日はラーメンだ。お湯を注いで待つこと3分。その間も、強めに吹く南風と照りつける太陽で、練習後の身体は火照ったまま。「どうして焼きそばにしなかった」と、ryoを詰りたくもなる。ラーメンをすすりながら、風に流されるほどの会話が続く。

「十の位が違うんだから」と、かたくなにワタシとの“同世代”を認めないざりままも「少し動かさないと、肩が回らなくなる」らしい。ワタシのは転倒の後遺症だけど・・・どう考えても四十肩だよ、それは。「同じ60年代生まれなんだから」などと、好き勝手なことを話しているうちに、saitoさんの声がスピーカーから聞こえてきた。「チャリティオークション、始めま~す」だって。

スクールの講師陣が私物のモトクロスウエアやブーツを持ち寄ってのオークション。全額、日本赤十字に寄付されることになっている。スズキとカワサキのライダーがいなくて少し寂しいけど、ryoとワタシもいそいそと受付に急ぐ。どうやら先陣を切るのは、増田一将選手のようだ。スポンサーのステッカーが貼りつけられた“本番”ウェアを手に、競り手を見渡している。

「最初は1円から」、saitoさんの名調子でウェアの上下セットが“競り”にかけられた。と同時に、待ってましたとばかりに「2000えん!」と大きく手を上げる子供が一人。小遣い全額を叩いての大勝負は、とっても潔いけど・・・saitoさんが言うとおり「早過ぎ」だ。オークションになっていない。一将ファンの彼のために、大人たちが“場”をこしらえていく。

10円・・・100円・・・200円。続く「500円!」の声はmachi-san、すぐに「1000円」の声がかかって・・・いよいよ彼の出番だ。saitoさんに促されて「2000えん!」と、今度も元気に手を上げる。邪魔する競り手が現れるわけもなく、一将選手のウェアは無事“未来のチャンプ”の許へ。その小さな手を包み込むように握手する姿が、いかにも一将選手らしかった。

これで調子が出たのか。saitoさんの「まずは1円から」のかけ声も、ひときわ大きくパドックに響き、陽射しに負けずオークションも熱を帯びてきた。相変わらず「500円!」しか言わなかったmachi-sanが、ホントに500円で一将選手のモトパンを競り落としてしまったり、ざりままが本気で辻健センセのゴーグルを落としにいったり・・・。

競り落とされる度に、決まって落札者が財布を取りに行く姿も、何だか微笑ましい。最後の一品、一将選手のジャージを手に入れたのは、イバMOTOの常連さんだ。そして、手にしたジャージを、そのまま未来のチャンプにプレゼントするという美談で、チャリティオークションが幕となった。

<次回、午後の部に続く>