練習という名の週末~日曜日5

<4/24の続き>

午後3時。スターティンググリッドの前で8の字を描きながら、okano師匠が来るのを待つ。saitoさんのグリーンフラッグに反応して、次々とマシンが最終コーナーを回っていく。#51を着けたCRF150RⅡがやってきたときには、ちょうど最後の一台が坂を駆け上がるところだった。RMが待っているのを知っていたかのように、一瞥しただけで、勢いよくフィニッシュテーブルを跳んでいった。

さっきまで「くたびれた」と繰り返していたはずなのに、土埃を残して坂を駆けていく。RMが追いかける番だ。奥のストレートに入るまでに先行するマシンを1台抜き去って、RMとの差が一瞬開きかける。一気に“ケリ”を着けるつもりだ。逃げるCRFが車体を揺らしながらフープスへ・・・後半で勢いを失ってくれたおかけで何とか後ろ姿に喰らいつくものの、インとアウトに分かれて回っている間に、再び引き離されてしまった。

「ますいなー」。まだ1周もしていないのに・・・そんな焦りに、いよいよ “408らしさ”を増した路面が、不敵に微笑む。猫背になった右肩から危うく地面へと落ちるところだった。車体がザザッと傾いたのを、右足で土を蹴りつけて元に戻す。「危ない、危ない」・・・これでまた少し差が開いた。こうなれば、多少飛距離が足りなくても、ステップアップを跳び出すしかない。RMを右端に寄せながら、テーブルを越えようとした先に・・・小さく砂埃が舞う。スリップダウンしたのは・・・CRFの方だった。

「大丈夫ですかー?」「ああ大丈夫!」。短く言葉を交わして、okano師匠の脇を抜けていく。“408”の餌食になったのは、滅多なことでは転ばない師匠。地面にへばりついている姿を、この前見たのはいつのことか・・・すぐには思い出せないほど、珍しい転倒だ。

<次回、最終話?!に続く>