練習という名の週末~日曜日6

このままじゃつまらない・・・スターティンググリッドの前で、今走ってきたリズムセクションを振り返る。さっき置き去りにしてきたCRFに遅れること数十秒・・・何ごともなかったようにテーブルトップから姿を現したokano師匠のCRF150RⅡ。その勢いの鼻先にRMを挿し込む・・・バトル練習の再開だ!

わずか数周でも、本気で競り合う二台。これが楽しくて、ここに来ているようなものだ。再びRMが逃げる番、harada師匠に「ごめんなさい!」をして、我流のコーナーリングで逃げるだけ逃げる。追う方も追う方で、過激に追いかけてくる。転倒で、そのまま崩れ落ちないのがいい。とりあえず・・・アウト側を回っている余裕はなかった。

音を聞く限り、つかず離れずではなくて“離れず”、確実に真後ろにいる。CRFをはっきりと感じながら周回するのは、気が焦るばかりだ。しかし、“安全”に走ってばかりもいられない。「前に出すと面倒になる」・・・そう直感して、コーナーを、ことごとくインベタで回り続ける。師匠がアウトに回ることは・・・まずない。ただ、背中が曲がっているせいで、時々リヤタイヤが外に流れては右手が大人しくなる・・・どうにもインは苦手だ。

ロングテーブルに続く、短いストレート。その先に、フラッグを脇に抱えて、ホームストレートを横切るsaitoさんが見える。相変わらず後ろからは、4ストの割れるような排気音が響いてくる。「もう少し」・・・まだチェッカーではなかったけど、間違いなく、あと1周だ。これがmachi-sanだと、2周ぐらい残っているから気をつけないといけない・・・。

もはや練習を通り越してレースさながら・・・最近は、いつもこんな感じだ。フープスを越えて、残りが1/3になっても、どちらも譲る気がまったくない。練習走行では、リズムセクション最後のテーブルがフィニッシュになる。師匠の前で跳び上がると、目の前でsaitoさんがチェッカーを手にしている。右肩越しに後ろを振り返っても音のする方向に、車影は見えない。着地する直前、テーブルの上に、黒い影が映った。

「わかった、これで来週は跳べそうだ」。レース紛いの練習を終えたパドックで、師匠と弟子が揃ってうそぶく。口ばっかりで、いつも“気合いが空回り”の二人・・・でも、そんなことで笑えるのが、またいい。本番のレースで決着をつけるのは・・・イバMOTOになるのかな?今から楽しみだ。それに、ワタシには土曜日のスクールで教えてもらった“秘策”がある・・・師匠には披露していない“ロケットスタート”という秘策が。あとは・・・本番で“それ”を忘れないようにするだけだ。