お米はやっぱり日本米!

さくらメシから解放されて、あちこちと食べ歩きの毎日。今週に入ってからは中華続きだ。昨日は、雲南省の家庭料理を食べさせてくれる店に・・・舌に残る辛さと飛び交う中国語が、遠く中国出張を思い出させてくれて、楽しいランチだった。その帰りに手に入れた『上野周辺お散歩まっぷ』、そこに紹介されていたのは、ちっとも想像ができない料理のお店。今日はその店まで行ってみることに・・・生まれて初めての『イラン・トルコ・ウズベキスタン料理』だ。

JR日暮里駅の北口を抜けて、“谷中ぎんざ”へと続く坂を上っていく。日暮里に通い始めて半年が過ぎたのに、ここを通るのは初めてだ。歩道の脇に「御殿坂」と看板の立つ、歴史ある坂道を上がり切ると、いきなりありふれた街並みが現れた。再開発された東口を見慣れたせいか、あまりの普通さに驚かされる。そのまま歩いて、別れ道を右に折れると・・・野良猫たちの天国と言われる“夕やけだんだん”。ただ、あまりの暑さに、猫の姿はない。うっすらと汗ばんだ額に手をかざして、ひとつひとつが低い“だんだん”をゆっくりゆっくり下っていく。だんだんを下り切って“谷中ぎんざ”に入る手前、イラン・トルコ・ウズベキスタン料理のZAKUROは、その左手にあるビルの一階に収まっていた。

下町然とした辺りの雰囲気にそぐわない、奇抜な色使いの踊り子の衣装が、店の入口に飾られている。雑然とした入口から一歩中に入ると、薄暗い室内は、靴を脱いで上がる大部屋になっていた。とてもランチを提供するような感じじゃない。香辛料が染みついた風な壁には、民族衣装の他に、写真とも絵ともつかない肖像画が何枚も飾られている。薄い感触の絨毯に、半畳ほどの板切れ(テーブル)と座布団一組の組み合わせが、壁に沿って並べられているから・・・部屋の真ん中だけが妙に広々としている。夜にはベリーダンスが披露されるらしい。白く透けた布が、大きな波のように天井を這っていて、ちょうど薄明かりに染まった砂漠の空の趣だ。

唐草模様に似た白い刺繍が目に付く上着を着て、店の主人らしき男が近づいてきた。その彼に案内されるまま、入口から三番目、一つ席を空けて両側に先客のいる床に腰を降ろす。象牙色のテーブルにはナイフ、フォーク、スプーンが一組ずつ放り込まれた茶色い箸入れがあるだけ、メニューは無さそうだ。左隣で足を投げ出して食べているテーブルを指さして、しきりに1000円の“コースランチ”を勧める主人。確かに小皿がテーブルいっぱいに散らばっている様は、見るからに賑やかで楽しそうだ。ただ、初体験の異国料理は、店構えからして、とても日本人向けに手心を加えているようには思えない・・・用心して、日本人らしく“中間”の価格帯にある“日替わりランチ”を頼むと・・・それまで熱心にしゃべっていた主人がピタリと止まって踵を返す。まるで海外旅行にやってきた日本人のような心持ちだ。

<イラン・トルコ・ウズベキスタン料理、そのお味は・・・続きは次回>