ひさしぶりにバイクな週末~前編

予報は正しく、そして思った以上だった・・・。

昨夜の残り湯を急いで追い焚き、玄関先で着ているものをすべて脱ぎ去って風呂場へ・・・狭いユニットバスにryoと二人、一緒に湯船につかるのは、もう何年振りのことだろう・・・。

昨日の太陽に風が立つ。北からの風は、しのぎやすい空気を運んでくれている。空も最初から青い。“菜種”を摘みに江戸川までと思っていたけど、こんな天気にはもったいない。ryoの「佐野まで行きたい」に乗って、昼飯ついでに二台で唐沢山まで出ることにした。これがトンだ結末を呼ぼうとは・・・このときは思いもしなかった。

古河から新しい三国橋を渡って旧道を迂回、柏戸の交差点で“本線”に戻る。渡良瀬遊水池を右にして延びる県道は、車の数も程よく、日帰りでふらっと走るのにちょうどいい。渡良瀬川を渡って左折、そのままプレミアムアウトレットの脇を抜けて、佐野の中心街へと続く道幅十分の快走路だ。川のほとりの桜並木も、見事な“葉桜”になっていて・・・緑の枝葉を広げるばかりになっていた。

国道50号線をくぐって、EXC-RとXR230が入れ替わる。ここからはryoが先導だ。高校時代を過ごした佐野の街をきょろきょろしながら走るryo。ワタシと言えば、怪しくなってきた雲行きと、二の腕に当たる風が冷たくなってきたことの方が気になってしかたがない。青色はすっかり見えなくなり、墨色の雲が風に吹かれて流されているようにみえる。

城跡が残されている唐沢山、麓に「22-6まで自動車・バイク通行禁止」の標識があるところを見ると、山頂まで面白い道が刻まれているのかもしれない。はたして二車線の山道は、高低差の大きなヘアピンがいくつも続いて、小排気量のロードバイクなら結構楽しめそうだった。路面にこびりついたタイヤ痕は、ドリフト連中の仕業だろうか・・・これじゃあ、夜間通行止めにするのもわかる気がする。

前を走るXR230。そつなくコーナーをこなしていく後ろ姿に感心する間もなく、山頂の駐車場、唐沢山神社の入口に到着だ。何がいいのかのかわからないけど、“神社大好き”のryo。そのryoが勧めるだけあって、背の高いうっそうとした木立と苔むした石垣、静まり返った参道によく残された掘割など、京の山寺か山城にでも行った気分になってきた。こんな近所に、こんないいところがあったとは・・・ryoもなかなかのものだ。

石垣は当時のままと言うから、かなりの年代物。再建した天守閣よりも、よっぽどありがたい。暗がりから武者姿の亡霊でも出てきそうな雰囲気の中、本丸跡の神社でお参り。手水の作法をしっかりするところが、“神社好き”らしい。ryoに倣って作法どおりに手水をすませ、このところの“厄妄想”を振り払うべく、二礼二拍一礼。「神仏のご加護を」と念じてから、参道を反対方向へと折れていく。ご加護があれば・・・そんな事態に陥るのは、それから1時間ぐらいしてからのことだった。

<神のご加護はいかに・・・帰り道に続く>