ひさしぶりにバイクな週末~後編1/2

無垢のままで荒々しい石垣と、落葉に覆われた山肌を眺めながら、来た道とは違う経路で駐車場まで降りていく。途中、誰ともすれ違わないほど、寂れた場所だけど、これはこれでいいと思わせるのは、時の“重さ”だろうか・・・。肌に触れる風がいよいよ冷たくなって、神橋まで戻った頃には、心配していた雨が頬に落ちてきた。見上げれば、ますます黒味を帯びた空、あまりのんびりしている場合じゃなさそうだ。

勝手を知るryoが先導で、ちょうど山を越えるように、来た道を背にして山道を下る。不規則に腕に当たる雨、ひさしぶりに被ったラパイドのスモークシールドにも雨粒が小さく点々と染みを着けていく。いくぶん狭いものの、道の雰囲気は上ってきたアスファルトと同じ、タイヤ痕などはこちらの方がくっきりと残っているぐらいだ。平らなところまで降りてくると、それまで鳥肌の立っていた両腕が、温かな風を感じるようになっていた。いくぶん空も明るくなって、雨が降り出す気配は無くなっていた。

走り出した頃は「佐野ラーメンでも」と思っていたけど、昼を食べている時間が惜しい。空腹のまま、佐野を離れることにする。ryoの前に出てから、すり抜けを始めたのは・・・それなりに焦っているからだ。最近では滅多にやらないから、車の列に戻るのがどこかぎこちない。降り出した雨に路面から湧き上がる、埃と湿気が混ざりあったような雨の匂い。そんな匂いこそしないけれど、低く垂れ込めてくる雲が、確実に雨を予感させていた。

三国橋から見渡す帰るべき方角には、黒ずんだ雲が地上にまで落ちていた。渡良瀬川を渡る風も遠慮なく吹きつけて、マシンごと反対車線へと押しやろうとしている。フロントタイヤの方向が雨を思わせて・・・この落胆する感覚はひさしぶりだ。ただし今日は土曜日でもないし、ましてやロングツーリングじゃない。逃げようにも逃げられず、あとは何とか当たらずに帰り着けることを祈るのみ・・・そう神仏にでもすがるだけだ。ただ、こうした“追いかけっこ”、今まであまり勝った記憶がない。

<続きは・・・次回に>