早過ぎる雨の季節

今週最後の一日は、ちょっぴり忙しくなった。中途半端な午後8時30分過ぎ、ようやくビルの10階から解放されてエレベータで地上へと降りていく。1階で開かれた扉を抜けて、照明の落された通路を歩き出す。革靴の底がタイル地の床に当たって、辺りに固い音が響く。ネオンに揺れる街並みが、数メートル先を細長くきらめいていた。

歩道を闊歩する人影も、女の子ばかりが目につくのは・・・派手な色で身体を包んでいるから?夜の街、と言ってもただ時間が遅いだけの、ごくありふれた景色に雨の気配はなかった。予報は予報、雨を連れた雲はどこかに“雲隠れ”したのかもしれない。駅前の電飾はひときわ眩しくて、見上げる空は漆黒のまま、雲に覆われているのかさえもわからない。

待つことなくホームに入ってきた常磐線。取手行きの15両編成がツイている。金曜の夜を終わらせるには、まだ早いのだろう、いつもなら手すりにつかまる人影が見える先頭車両も、座席がほとんど空いていた。ちょうど中ほどの車両に乗り込んで北千住まで。となりのサラリーマンが、赤ら顔でニヤニヤしている。楽しい酒だったのか、とっても幸せそうだ。

給料日まであと少し、“あの事”が無くても一番苦しい時期。特急“りょうもう号”に乗って、東武動物公園まで一気に帰りたかったけど・・・我慢してホームに停まっていた“大田行き”の区間急行に乗車。エアコンが適度に効いていたJRと違って、伊勢崎線の車内はかなり蒸している。せんげん台を越える頃になって、やっと涼しくなってきた。

座っても隣同志が寄り添うことも無く、快適になったと思ったら・・・東武動物公園に到着だ。魚民の脇から非常階段を降りていく。ここも、うっすらと霧雨が流れているだけで、雨が降っていると言うほどではない。このまま「週末も降らないのか」と楽観してパソコンのニュースを見たら驚いた・・・「関東と東海が梅雨入り 気象庁」、関東は歴代2位の早さだそうで・・・ちょっと早過ぎた雨の季節、あとは“空梅雨”を期待するしかないな。