到着!

よく言えば“ありのまま”、自然にまかせた木々の緑が駐車場に出張っている。砕石のような砂利が敷き詰められて、斜めに角度がついているのも、昔と変わらない。先客がいるのか、クルマが3台停まっていて、少し手狭な駐車場には、薪を積み上げた一角しか場所が空いていなかった。道路から直角に進入、ハンドルを大きく右に切ったまま、薪に触れるか触れないかの位置にBongoのフロントを合わせる。サイドブレーキをかけると、目的地に着いたのを察したのか、後ろの二匹がにわかに騒ぎだした。

停めた場所は、構わなくていいようだ。雨の中、仕事の手を休めてオーナーが外に出てきてくれた。シロとネロをテラスに連れていってあげればと、少し年季の入った笑顔でそう話すオーナー。雨に濡れた建物と一緒、長くもなく短くもない、時の流れの分だけをその頬に見せながら、変わらない物腰で迎えてくれる。料理担当のリイさんも、いつの間にか外に下りてきて到着を喜んでくれていた。こちらもわざわざ厨房から出てきてくれたのだろうか・・・そんな懐かしい会話を遮るように、シロがうなりを上げて吠え続けていた。

<次回に続く>