半額“生パスタ”~前編

月が変わっても、サービスランチが「チキンカレー」のままになっている店から引き返して、“にっぽり繊維街”の方に足を向ける。ただ、この界隈は、少し前に歩き回っていて・・・裏通りにも面白そうな店が無いとわかっていた。結局、遠回りしただけで、駅前のロータリーまで逆戻りだ。「さてどうしたものか」とメシ友と思案しながら、気がつけば横断歩道の上で右往左往・・・大きなワンボックスにあおられて、あわてて歩道へと走り出す。

昼の“食事処”を探すのも、一度迷うとなかなか決まらない。「中華が続くのも芸がない」という理由で・・・いつも素通りしていた“生パスタ”を試してみることに。いつもの“ワンコインランチ”と比べたら贅沢だけど、1000円でお釣りがくれば、都内のランチとすれば十分合格だ。仕事仲間がよく通っているから、外れることもないはず。二人で並んで歩くにはちょっと狭い歩道から、軽い扉を押し開いて中へ。

通りからは薄暗くてよく見えなかったけど、こじんまりとした店内には、真ん中にカウンター、壁の周りに二人掛けのテーブルが7つほど配置されていて・・・想像していたとおりの空間が広がっていた。床も壁もテーブルも椅子も、淡い照明がそれらに当たって、すべてが明るい褐色に包まれている。カウンターと厨房の間の狭い通路をわたって、奥のテーブルに通される。小さな真ん丸のテーブルが妙に新鮮だ。

オーダーを取りに来た若い女性の店員さんに訊けば、クリームソースが一番人気だと言う。「やっぱりそうか」と思いながらも、それは連れがオーダー済み。流れのまま「次は?」と訊くか訊かないうちに、「トマトソースも人気がありますよ」と教えてくれる。「それでは」と、二人でこの店の”No.1,2”を頼むことにした。

<後編に続く>