ザリガニは確かに赤いけど・・・

9時7分。マナーモードに設定した携帯が小刻みに震えている。MX408に向かったryoからだ。瞬間的に「何かあったか?」と思うのは親の哀しい性だろうか。「uchinoさんがいるんだよ」と、昨夏のRIDE DAY以来になる“師匠”との再会が、ずいぶんうれしかったようだ。声の後ろに野太い4サイクルの排気音が響いている。走行開始がフルサイズクラスからなのが “MCウィーク”らしい。

「しっかり起きている?」と、珍しい質問を続けるryo。「ああ、大丈夫。起きてるよ」、半分寝ぼけた頭で面倒くさそうに答えると、machi-sanとざりままも来ていると言う。なじみの顔が目に浮び、「きっとokano師匠も来るんだろうな・・・」と思いながら、そのまま携帯から聞こえるryoの声に耳を傾けていると・・・どこか悪戯っぽい調子だ。おまけに、なぜか興奮している。「“赤”くなってるんだよ!」・・・そう、伝えたかったのは、ざりままの愛機がYZ85LWからCRF150RⅡに変わったことだった。これにはさすがに驚かされた。おかげでフワフワした頭が一気に醒めた。

何も決めていない土曜日。BMXかXR230か、トレーニングかツーリングか・・・シロとネロの散歩から帰ったらはっきりさせようと思っていたぐらい。そこに、ずいぶん楽しい話題が飛び込んできた。なじみともご無沙汰だし、saitoさんも気にしてくれていると言うし・・・ざりままの“慣らし姿”を見物するのも悪くはないかな?いつもの田んぼ道、あふれる光の中でシロとネロに引っ張られながら、気持ちははるか東の空に向いていた。

用意したのはXR230ではなくてEXC-R。このところエンジンを回しているせいか、セルも勢いがいい。さすがに今日は雨に当たられることはないだろう・・・Tシャツに薄手のカーゴパンツでシートに跨り、ひと月ぶりのMX408へ。走り出してすぐに、両腕が陽射しに灼かれて・・・その火照った肌の熱を、風がいい具合に後ろに流し去ってくれる。初夏によくある、バイク日和だ。

<モトクロスな一日はこれから・・・次回に続く>