Born This Way

工場通いも今日で三日目。片道35kmは、田舎道と言っても、それなりに時間がかかる。忙しい朝で1時間弱、車の往来が減って、流れが加速する夜でも40分が限度だ。とにかく往復で1時間半はBongoの中で過ごすことになる。自分で運転するわけだから・・・この空間は心地良くなければいけない。

“短いクルマの旅”にも道連れは居る。6月になって、Bongoに流れる声も変わった。甘ったるい真子ちゃんは半透明のプラスチックケースに収まり、代わって挿入されたカルピスのように淡白色のMDには、艶やかな主旋律を引きたてる音がぎっしり詰まったアルバムが録音されている。発売日に手に入れられなかったLADY GAGAの新作『Born This Way』だ。

「このまま進めばいい、こうなるように生まれてきたんだから・・・」。律動的なヴォーカルがTVCMでもおなじみ、タイトルカバー曲の“Born This Way”だ。『Fame』『Monster』に続く三作目は、耳の底に微かに残って、気がつくと鼻で旋律を追っているような曲ばかり。あまりの早口で歌えやしないけど、何となくKISSと波長が似ている、そんな気がした。

LADY GAGAを連れての帰り道。歌姫の声が、開け放した窓からこぼれては、バックミラーの先に消えていく。“Highway Unicorn”“Judas”“Electric Chapel”・・・ベスト盤じゃないかと思えるほど、ワタシにはどんぴしゃりの曲が続いていた。