夏空の下で~その2

日曜日で休みのENEOS。店の周りを、ぐるっとロープが巡っている。その角を左に曲がり、すぐに左、右とBongoのハンドルを操作して、わずかばかりの町並みをバックミラーに押しやっていく。緑の奥、狭い渓流沿いの道を抜けると、明るい山間。初めて来たときに見たのと同じ光景だ。そのまま平坦なくねくね道をゆっくり進んでいくと、また道が上り始める。目印のでっかい看板は・・・派手な絵柄が少し剥げてきていた。その看板の前で、右に大回りだ。

正面に見える上り勾配に、白い二本の軌跡が続いているのは・・・ブルの跡。金色の山砂が雨を吸っているのか、コースには少し赤みが差している。山は緑にあふれ、その中を緩く左に曲がりながら上り勾配が延び、頂点の手前で緑の中に消えていく。ホームストレートの傍らには“ランプ”が数機、静かに佇んで、黙ったまま。去年の夏以来となる“モトパーク森”は、何ひとつ変わらない表情で二人を迎えてくれていた。

受付の建物を回り込むようにして、パドックへと降りていく。先客は“いわき”ナンバーのハイエースが一台、ウッドデッキ風の“観覧場所”が設えられたコンテナの前に陣取っている。その90°左手、道路側にBongoを停めて、運転席で固まった体をシートから地面へと追い出す。地面に降りた両足から、体中がほぐれていくような感覚が伝わってきた。遠くでブルのキャタピラが、ガチャガチャと音を上げている。

マシンを降ろすのを後回しにして、まずはひさしぶりにコースウォーク。スターティングエリアの辺りから、靴の下がニュルニュルしてきた。コースの上は、ちょうどスニーカーの靴底が埋まるくらいの緩さ。それでも粘土質じゃないから、すっぽ抜けてしまうようなことはない。ホームストレートを横切ると、どちらともなく、自然ともうひとつの“上り勾配”に足が向いてしまう。「全開」と「スタック」が紙一重の、最大の難所であり最高のコーナーリングポイント。今日が楽しくなるかどうかは・・・ココの“出来”次第だ。

バンクに足を取られ続けて、早々と上るのを諦めたワタシ。その隣から、ryoが勢いをつけてバンクを駆け上がる。二、三回、足を取られながらも、山の裏側に続く入口に立ったryo。すぐに降りてきて「何とかなりそうだよ」と明るく笑う。見渡せば水たまりもなく、絡みつくような粘り気もない・・・「何も考えずに」は難しいかもしれないけど、それなりに楽しめそうだ。その間にも、森社長のブルが前後進を繰り返して、丹念に路面を撫でつけている。その姿に・・・saitoさんが重なって見えた。

<続きは・・・また次回>