梅雨、明けた!~下1/2

3時30分。フルサイズの親子が上がって、パドックにはryoと二人だけ。少し風が吹いてきた。いつもなら後始末を始めている頃なのに、のんびり腰を下ろしていられるのは、半谷ならではだ。5時までは、まだ時間がある。しかし、「涼しくなってから」と待っていても、太陽はまだ高いところにあって、射すような眩しさのまま。気温も下がった感じがしない。どちらもしばらくは動くことなく、ただ目を閉じて、うちわで煽ぐばかり。「4時になったら、最後の一本」、体の方も、それまで大人しくしている他なかった。

4時になる。着替えを先に済ませたのはryo、そのまま先にコースへと出て行く。汗と埃に汚れたモトクロスジャージ、首から被るのも一苦労だ。べたついた腕にジャージの袖が引っかかって、うまく両手が出てこない。ねじれた袖口を引っ張りながら真っ直ぐにして、ryoの後を追う。ヘルメット越しに、ストレートを駆け上がってくるKXの音が聞こえてきた。遠くの工業団地に、2ストの金属音が反響している。

コースの入口、ちょうどKXの前か後に割り込むはずが・・・車影が見えない。短いサイレンサーから弾き出される、独特の甲高い音も聞こえない。少し待ったけど・・・見えてこないKX。仕方なしにそのまま単騎、今日の“締め”を走り始める。ryoが跳びきるジャンプを真似ては、続くコーナーを飛び出そうになったり、座ったまま斜面を跳び出しては“竿立ち”、体がマシンから離れそうになったり・・・“締め”によくある、気持ちと体がちぐはぐな状態だ。上半身を支える両脚にも疲れがたまってきたのか、ストレートから折れて、ギャップの続く下りでは、うまくスタンディングもできない・・・。

<SMAPxSMAPに見入ってしまって・・・“締め”は次回に>