夏らしく、アツく!アツく!~その5

みんなより少しだけ多く周ってから、パドックに引き上げていく。RMから降りた瞬間の暑さも、森の風がさらっていって、すっと汗が引いていく。深緑色したタープ型テントの下、日陰で風の通り道にさえいれば、すぐに走り出せるほど、たちまち体が乾いていく。

テントとtasaki家の屋外扇風機で、パドックはひどく快適だ。そのせいか、みんな良く笑う。話が弾んでいるわけじゃない。口をついて出るのは、「暑い」と「疲れた」がほとんど。それでも笑い声が絶えることはなく、みんな上機嫌だ。思い切って駆け上がっていく“手応え”を掴んだのか、machi-sanも楽しそうに笑っている。ただ、10人が全員揃うはずもなく、誰かが必ずコースの上にいる。その誰かに引っ張られるようにして、冷めた体でコースへと戻っていく。

上りの波打つギャップに悩まされながらも、開けている時間がだんだん長くなってきた。フープスでRMが“さお立ち”しかけても、体が前に残って、ハンドルを引く余裕がある。気持ちに遅れて、まくれる気もしない。「乗れている」感じ、この感じが確かなのか、気のせいなのか・・・推し量るのに、ちょうどいいのが後ろから迫ってきた。KX85Ⅱ・・・ryoのマシンだ。

あばらの痛みも「落ち着いてきた」と言うだけあって、露骨に背後を突いてくる。どっちが怪我しているのかわからないぐらいだ。それでも、今日は、簡単に前を譲るような真似はしない。インを締めているわけでもないのに、手をこまねくようにして後ろにいるのは、こちらがそれなりに走れているからか?近くにいるはずなのに、甲高い排気音が森に吸い込まれて、耳には届かない。肉迫に気づかされるのは・・・フロントタイヤをねじ込まれてくるときだけだ。

<次回に続く>