夏らしく、アツく!アツく!~その8

さすがに5年も続けていれば、これぐらいで破綻することも無く、右手を絞り込んで左ターンを二つ、落ち着いてさばいていく。そのまま、腕が上がっていることも忘れて、頂上から続くギャップを開けながら抜けていき、一気に坂を下る。途中、緩い右の曲がりで、まともに拾ったギャップに一瞬“ドキッ”とさせられたけど、振られた車体をねじ伏せるようにして収束、“表”に出てきてテーブルトップを跳び出して・・・全力で上り坂を疾駆する。

いつ走ってもoki-sachi師匠の声が聞こえてくる、下りの左コーナー。ふと“風”を感じなくなって後ろを振り返ると・・・やはり緑の車体が見えない。「上がったかな?」、先にコースを出ていったとしたら、文句無しでワタシの勝ちだ。少し速度を落としてインフィールドを切り返すと、フープスから頂上までは、再び全開で駆け上がる。下りになって、また速度を落とし、陰が濃くなった森の中を駆け下りる・・・と、下り切った左コーナーの手前、イン側に、ヘルメットを脱いだkazuが佇んでいた。

「前転しちゃったよぉ」・・・あと一息、もう少し詰めておかなきゃ・・・と、RMに向かって、ちょっとスロットルを開けて下り始めた瞬間らしい。ギャップにフロントタイヤが弾かれ、前がかりになった身体のままフロントブレーキを握ったからたまらない。続くギャップにフロントタイヤが取られて・・・なすすべなく、体が前に放り出されてしまったようだ。その後、自分のマシンが体に「降ってきた」と言うから、大した怪我が無くて、ホント良かった。ともあれ、ここは第二のホームコース。“一日の長”もあるし、“二年生”になったばかりのkazuに面目を潰されず、何よりだ!

<次回、ようやく最終話?!>