夏らしく、アツく!アツく!~その10

明日も休み・・・そんな甘えからか、片付けがなかなか進まない。目の前で派手な“滑空ショー”が繰り広げられているから余計だ。各車荷物を積み終わり、そろそろ合宿もお開きの時間・・・ランプから跳び出すライダーを名残惜しそうに見つめるkyo-hei。kazuも親分も、まだ食い付いている。別れに大きく両手を広げてみせると、ひときわ高く、リヤタイヤを宙に向けて舞い上がってくれた。その姿に「ありがとう-!!」と手を振って、モトパーク森を後にする。県道をmachi-sanは右に、“経路”が違うtasaki家のハイエースも、Bongoの前を走り去る。

帰りの車中、いつも黙りこくってしまうryoの代わりは、tasakiパパpresentsの『洋楽selection第二弾』だ。盤面に“DC Shoes”のロゴマークが印刷されたCDを手に取って、カーオーディオに飲み込ませる。ワタシの好みに合わせてくれたのか、第一弾に比べて、ずいぶん明るい曲が並んでいる。Bongoの窓は全開、エアコンいらずの山風が吹いて、ヒグラシの声が流れて消えていく。夏真っ盛りなのに、なぜか切なく涼しげだ。スピーカーからはMadonnaの『Like a Virgin』。ヒグラシとの奇妙な共演に戸惑いながらも、楽しく福島を抜けて、栃木県に入る。陽はまだ残っていて、いよいよヒグラシが似合う空間になっていた。

氏家の手前でとんちんかんの連中と、かなり遅い晩飯。ここから先はryoの運転だ。ゆっくりと慎重に駐車場を出て行くryo、すでにとんちんかんのハイエースは、二台とも見えなくなっていた。助手席からだと、国道4号線の眺めもずいぶん違う。宇都宮を過ぎて、ガードレールに「東京まで91km」の看板が目に入る。気を遣って、一曲だけLADY GAGAを選んでくれたtasakiパパ。『POKER FACE』は、ちょっと懐かしい音がする。左手の窓の向こう、ちょうど東の空に、満月から二日経った月がずっと寄り添っていた。この夏、もう一度ぐらいは、福島帰りの月を仰いでみたいものだ。