Summer Vacation~8/9

山から吹き下ろす風は、涼しさを抱えたままだ。陽射しに照らされた首筋に触れては、横湯川に沿って、さらに下っていく。夕べ、薄暮の中に鳴いていたヒグラシを追いやるように、ミンミンゼミが森から街へ、やかましく声を震わせている。日陰に置かれたプラスチック製のイスに腰掛けると、なおさら風が心地よい。そこから日向に目をやると、昨夜は夢を見ていたかのように、夏の朝によく合う、強い光と音があふれていた。その中を、さっきから、首に赤いカードをぶら下げた老若男女が何人も、行きつ戻りつを繰り返していた。

ryoも、その一人。「モンスターハンター」と呼ばれるゲームと渋温泉が、共同で祭りを開催していると言う。温泉街の中に、ゲームの世界をとけ込ませていて・・・ゲーマーにはたまらない祭りようだ。ワタシには昨夜そぞろ歩いた街の方がしっくりするけれど・・・彼らは違うみたい。そんな”狩人さん”たちに混じって、若い女性の二人連れが、普通の観光地図を片手に、目の前を通り過ぎていく。その後から、着物姿の女将さんが闊歩して・・・ようやく渋温泉に居ることを思い出させてくれた。

時間と一緒になって、じりじりと気温が上がっていく。さすがに日向を歩くのは辛そうだけど、いつまでも腰を下ろしているだけじゃ、つまらない。外湯巡りの続きは、もう少し涼しい時分に預けて、足湯に浸かりながら、渋高薬師にでも参拝してこようかな?そのまま“ご利益散歩道”を抜けていけば、毘沙門天もある。ただ、その前に・・・おやきか何かを食べて、腹を満たしたい・・・。何せ、今朝は朝飯を食いっぱぐれている。しかも、ここから出るまでに・・・まだ1時間以上もあるんだから・・・。

<お昼には出られるかな?ここからは草津を経由して帰る予定。話の続きはまた次回に>