8/7のキオク~1

<Summer Vacation~8/7の続き>

道にせり出すように伸びた枝葉の下、わずかな木陰を抜けるたびに“涼”を感じるのは、バイクならではの優越。見下ろす鏑川の底が、ここからでも透けて覗ける。アユ釣りの棹を渡していく仕草も、今日は涼しげだ。国道254号線を佐久方面に、単騎で快走。ただ、心地良さも、クルマの後ろに着いてしまうと・・・そうはいかない。流れがよどむ。それがトラックだと、なおさら・・・もう、たまらない。EXC-Rの先に、アルミの荷室を抱えた、“そんな”トラックが迫ってきた。

追い越し禁止が解除されるのを待ってから、前後のトラックと合わせて、合計4台をひとまとめにして抜き去る。道幅のあるヘアピンと緩いカーブが続いて、ゆっくりと高度を上げていくアスファルト。EXC-Rは「倒せ、倒せ」と急かすけど、今から6年前、新車当時に履いたままのDUNLOPは、どうしても信用できない。探りながら怖々とアスファルトへと車体を近づける。そんな“落ち着かない”乗り方をしているうちに内山トンネルを越えて、長野県佐久市に入った。そのまま平凡な長い下りを終えて平らなところに出ると・・・ガソリンが空になって、信号でエンジンが停まった。

・・・途中、美ヶ原高原を回ってから、松本に下りていくはずが・・・地図を見間違えて、国道254号線を真っ直ぐ来てしまった。ずいぶん“勘”が鈍くなった。山から下りてくると、町の中は暑気の吹きだまり。ちょうどお昼で、真上にある太陽が、いくつも小さな影を作っている。コンビニの駐車場・・・看板を支える鉄柱のわずかな日陰の中、バナナとグレープジュースを急いで腹に詰め込む。このまま平地に居たら気が変になりそうだ。早く山に戻りたくて、松本インターの先、国道158号線に向けてEXC-Rを走らせる・・・そのつもりだった。

<次回に続く>