2011夏~RIDE DAY

少しは盛り返しているようだけど、息苦しいほどの真夏はどこかに消えてしまった・・・。

全日本モトクロスレディースのカレンダーはryoの部屋に貼られ、ZOILのグリーススプレーとパーツクリーナーはガレージのケミカル置き場に並べられ、IAルーキー飯田義明選手の黄色いゴーグルは愛用のVFX-DTとともに深緑のプラスチックボックスに入れられて・・・そのボックスの上には、大きいお姉さんへの“手土産”にするつもりの、赤いミュールが置かれている。どれもが「RIDE DAY」から持って帰ってきたものばかり・・・肌に染みついた陽射しが薄れてしまう前に小旅行。とじた瞳の奥に浮かぶのは、まばゆい夏のかけらだ。

## He's worth a Deuce

LADY GAGAの新曲が詰まったMDを、KISSのものに入れ替える。邦題『地獄烈伝』は、エリック・シンガーとトミー・セイヤーが、ピーター・クリスとエース・フレーリーに“なりきって”再録音した、オールドナンバー中心のベスト版だ。一曲目は、ジーンが歌う“Deuce”。ライブでもオープニングを飾ることが多い、ファーストアルバムに収められているナンバーだ。エースそっくりにトミーが奏でるリフに、思わず体が揺れる。アンコールに回ることのない曲の旋律を聴いていると、狙いどおりハンドルを握る両腕に力がみなぎってきた。“He's worth a Deuce”・・・ひと月ぶりのモトクロス、ワタシもいつもの“倍”は走らなければ・・・遅れを取り戻せない。

## Paddock

このところ半谷モトクロスパークが多かったせいか、出発もだらーっとしていて・・・到着が受付時間ギリギリになってしまった。今日は谷田部エンジョイスポーツランド。前回からは半年ぐらい経つだろうか・・・ずいぶんご無沙汰している。埃舞う砂利道に気を良くして、最後の坂を上りパドックに出て・・・驚いた。外周を囲むように、木陰にびっしりと並んだトランポの数。頼みのざり家も、手狭な奥まったところに居て・・・もはや日向しか隙間がない。仕方なしに、受付の近く、気後れしそうなほど立派なマイクロバスの真横にBongoを停める。ずいぶんと速そうなKidsのCRF150RⅡが降ろされている・・・その向こうには、SUGOの全国大会を走った若きNAライダーのCRF250Rが佇んでいた。

## Master of ceremony

祭りは、人が多いほど盛り上がるし、楽しい。“当日払い”で勘弁してもらった参加費を持って、受付に走るryo・・・しばらくして「・・・さん、のお父さ~ん、パパ~」と声がかかる。RIDE DAYではお馴染みのMC、低くて明るい声だ。急いで受付に行くと、アルバム用に「写真を撮らせてほしい」と言う。MCはカメラが本職?!、一言書かされたホワイトボードを手に、ryoと二人で小さなデジカメのフレームに収まる。黒のポロシャツに細身のパンツ、頭には黒い中折りのストローハットをかぶり、無精ヒゲの色黒の顔には、薄くて幅広のテンプルに長方形のレンズがはまった、大きなメガネ。ちびまる子ちゃんの歌に出てくる“インチキおじさん”を少し若くした感じか?!それでも、彼のしゃべりで・・・RIDE DAYは見事に盛り上がる。

## Group photograph

開会式の後は、お決まりの集合写真・・・ただ、この時間でも、肌が触れあうほど寄り添うのは、ちょっと苦しい。コンパクトなデジカメのおかげで、端からどんどんと寄ってくる。何もしていないのに、写真に撮られるだけなのに、だんだん汗ばんできた。額を流れる汗が目に染みる・・・。「OKで~す」の声とともに苦しみから解放されて、ようやくRIDE DAYの始まりだ。「ただ走る」組と「スクールを受ける」組とに別れての一日、最初にコースへ出て行くのは・・・「ただ走る」組の我々から。あわてて着替えを始めれば、思ったとおりに汗が噴き出してきた・・・薄いメッシュのジャージが肌にへばり付いて、なかなか体の形に落ち着いてくれない。

<珠玉の“かけら”は、また次回に>