ピンピン!そして、新しき好敵手!?~finale 1/3

<10/8の続き・・・ゴールまで、あと少し?!>

何度も背後で空吹かし。2ストの耳障りな排気音をたっぷり聴かせて、フロントタイヤを覗かせるようにして煽ってみても・・・ひとつも意に介さない。インフィールドでは、「前を譲る気はさらさらない」といった走りだ。この夏の間に、新しい相棒のCRF150RⅡを連れて二日、三日と続けて走り込む気合の入れよう・・・ようやく“赤いザリガニ”が本領発揮なのか?!しかし、こちらも、ただ手をこまねいているわけにはいかない。

インフィールドを同じラインで走り、勝負どころと決めた外周に入るまで、黙って背中を見続ける。完全に真後ろ、もし倒れられたら・・・RMのフロントタイヤで踏み越えていくしかない!?フープスに抜ける最後のテーブルトップを順番に跳び越えて・・・砂利の浮いた右コーナーから、三度目の勝負に挑む。前周、前々周と同じ場所でやらているから・・・今度は早目に仕掛ける。フープスの右端に向かって加速・・・2個ずつ、無駄に跳ねないように気をつけながら、CRFの真横へと近づいていく。

ほとんど同時にフープスを抜けて、ざりままは前周、前々周とまったく同じ、真ん中のラインを走る。しかも、加速に移る場所も変わらない。野球でも、三球同じ球種で、同じコースに投げていれば・・・打たれるはずだ。思ったとおりに動くCRFのすぐ左脇、乾いた路面ギリギリのところで、CRFよりも先にスロットルを開け始める。一つ目のコブを跳び上がった後は、狙いどおり、ざりままの視界の中に着地していた。

バックストレートで前に出ると、次の右コーナーのインに向かって、RMを走らせる。スネークの入口、スネークヒルの上り口、そして頂上の切り返しも、とにかくインを空けずに走る。そのまま下りきって、ざりままの“勝負どころ”、フィニッシュテーブル前の右コーナー・・・ここでも、2連ジャンプを跳んでから、インに切れ込んでいく。ざりままの悔しそうな顔が目に浮かんで、思わず頬がゆるんでしまった。フィニッシュラインを跨ぎ、ホームストレートへは、アウトバンクを使って跳び出す・・・後ろから聞こえていた排気音が、少し遠くなっていた・・・。

記憶はないかもしれないけど・・・初めて会ったのが、雨のサンデーモトクロス。ryoもワタシも初めてのMX408で・・・スネークヒルと呼ばれる坂に驚かされ、マディの中、ただただ緊張して一日を終えたことを覚えている。その中の紅一点が、CR85を駆るざりままだった。思えば、ずいぶん長い付き合いだ・・・振り向き、その美しき好敵手に視線を送る暇を与えなかったのは・・・第一コーナーに消えかけた、YZ85LWの後ろ姿だった。

<イバMOTOでしか会えない人が前に居た・・・続きは次回に>