ピンピン!そして、新しき好敵手!?~finale 3/3

L1のボードはまだ出ていなかった・・・だからなのか、ホームストレートに折れていく左コーナーのインを刺して、YZ85LWが急旋回を始めた。イン側、コーナーの頂点には逆バンクを思わせる短いテーブルトップ・・・そこを、コーナーの角度よりも小さく折れようとするYZ。その外側へRMが跳び上がろうとした瞬間だ。コースに平行だった青い車体が、さらに左へと向きを変えてテーブルの下に落ちていく・・・そのまま茂みを突っ切って、コース脇の水たまりに一直線。真っ白い水蒸気を噴いて・・・YZは完全に停止した。

“池ポチャ”・・・老巧にしては、あっけない幕引きだった。人間の方には問題がないから・・・軽く一瞥して、ホームストレートを駆けていく。これで、手の届く範囲にマシンは居なくなった。こういうときが一番危ない。ステップダウンを下りて、すぐ右の小さなコブを跳び上がると、バックストレートを立ち上がる#37のCRF150RⅡが見えた。「スーパー85/150クラス」のyamadaさんが、ちょうど折り返してくるところだ・・・ここから追いつくのは無理な話だけど、後ろにはまだざりままが居る。右手を握り直して、すぐ前にいる見えない敵へ追走を始める。

matunagaさんは、まだ池にはまったまま。その顔に左手を挙げてから、誰も居ない第一コーナーへ加速する。ワタシと同じ速度で走る、目の前の影。その影に引っ張られながら、スネークヒルを下り始めると・・・satakeさんが、小さなL1のボードを手にしているのが見えた。あと一周・・・フィニッシュラインを越えるワタシに突き出されたボードに、何度も大きく頷いて、アウトバンクから最後の一周へ跳び出す。ホームストレートの上、一瞬だけ左に視線を移しても・・・ざりままの姿は、よく見えなかった。

バックストレートは少し速度を落として通過、反対に苦手なスネークヒルの上り口は、それまでと同じ勢いで曲がっていく。スネークヒルの頂上で一度リヤタイヤが外に流れただけで、無事、フィニッシュラインへたどり着いたRM。satakeさんが「よくやった!」と言わんばかりに、いつもより大きくチェッカーを振ってくれている。その横でmachi-sanが、両手を大きく挙げて笑っていた。「スーパー85/150クラス」の尻尾には全然届かなかったけど・・・ばっちりキオクに残るレースが終わった。

<はるか前でチェッカーを受けたはずのryoは・・・次回、最終話に続く>