ピンピン!そして、新しき好敵手!?~paddock

順位がさっぱりわからないまま、パドックの奥へと引き上げていく。不思議と周りの雰囲気は悪くない。ゴーグルを外して、Bongoを見やると・・・ryoのKXが先に戻っていた。無事なことに何だかホッとして、クラッチを切って惰性でRMを近づけていく。と、向こうも近づいてきて、興奮した様子で何か話している。「1位になったよー」・・・ほとんど汚れていないフロントゼッケンの前で、こぼれてしまいそうな笑顔を見せるryo。たった三台だったけど・・・harada師匠を抑えての1位は、格別だったようだ。隣に居るデンカさんの話では、ワタシもクラス優勝したらしい・・・二人揃って2クラス制覇して・・・とりあえず“ピンピン!”で、イバMOTOが終了だ。

冷たい井戸水で顔を洗って戻る途中、ワンコインでチビっ子たちの先生をしていたjunkoさんに出くわした。“先生”だから、モトクロスブーツは履いていない。会うなり「レース、どうでした?」と訊かれて・・・照れくさかったけど、右手の人差し指と中指でVサインを作ってみた。すると、「ああ・・・」と笑うでもなく、ちょっと困り顔で掛ける言葉を探し始めたjunkoさん・・・どうやら“V”を“2”と思ったらしい。優勝したことを告げると、「あっ、ピースね!」と、やっといつもの笑顔に戻ってくれた。彼女も、今ではCRF150RⅡ乗り。ただ、白地に青が入ったTHORのウェアを眺めていると・・・まだYZ85に乗っているような気がしてくる。CRFには「しばらく乗っていない」と言っていたけど・・・最終戦は一緒に走れるといいな!

コースでは「サンデーフルサイズクラス」がスタートしていた。この後、最後のレースは、インフィールドの真ん中で旗振りのお手伝い・・・・少し早いけど、フルサイズのレースも見たいし、スターティンググリッドの方へと駆け出していく。その頭の上、鈍く光ったジュラルミンの機体が音もなく、ゆっくりと東南の空へとすべっていった。風が、ひときわ冷たくなっていた。