誰もいないのが・・・それっぽい! その5

<10/18の続き>

4つ目のコブを越えて、一度シートに座りなおしてから、RMを左に倒す。一つ目の斜面を全開で駆け上がり、斜面の頂点。その突端からからリヤタイヤが離れると・・・エンジンが一気に吹け上がる。空転したリヤタイヤが、半分“粘土”と化した山砂の上に着地、そのまま空転を続けて、一瞬勢いが無くなる。それでも、パドックの前にある、探るような轍ができているわけでもないから、構わずスロットルを開けていく。急勾配で湿気た路面が、右手の動きを大げさに車体に伝える。ちょっとでもスロットルをゆるめると、RMは途端に失速だ。上りながらRMをもう一度左に曲げると、その先に二つ目の斜面が待っている。絡みつく山砂に負けることなく、暗くて短い最後の数メートルを上り終えて・・・RMのスロットルを完全に閉じる。森にこもっていた金切り音が消え、チェーンの回る音も木々に紛れていって、弾むようにRMだけが下っていく。下りきって大きく左に回って、厄介な轍を抜けていくと・・・コース脇にkyoheiが立っているのが見えた。

<次回に続く>