快晴、無風。

Bongoのハンドルから、整った女性の声が聞こえてくる・・・声の主は携帯電話、透明なアクリル板の上に置かれたIS03が、「目的地周辺です」と繰り返す。背の低い果樹が広がる畑を、くねくねと上ってきて・・・もうすぐ山の頂上になる。その少し手前で、最後の看板が左折を促していた。Googleのナビを終了させて、ギヤを一速に落して、ハンドルを左に切って・・・ゆっくりと急坂を上り始める。体重がシートの背もたれにかかる角度になって、助手席のryoが神妙な顔つきになる。「大丈夫だよね?上れるよね?」と、真面目に訊いてきた。ダメな訳は無い、何度も上っているんだから・・・。

歩くくらいの速度で坂を上りきると、木々に覆われた視界が開けて、一気に空が近くなる。雲ひとつない青い空の下、緑色した芝生の一葉一葉が、降りかかる陽射しを跳ね返している。一年振りにやってきたモトフィールド榛名・・・パドックにはトランポが一台も見えない。一番乗りだ!秒針があと二回りもすれば、ちょうど9時になるところ。芝生を取り巻く砂利道を回って、受付に一番近い場所にBongoを停める・・・降り立ったパドックは、風が無くて、暖かだった。

<ryoは“初乗り”の榛名・・・続きは次回に>