快晴、無風。 6

ジャンプの度に高く跳ばされては落とされ、奥に延びる複雑な下りには細心の操作を求められて・・・5周と持たずに、スターティンググリッドから小道を上がっていく。フルサイズマシンを乗せて、ポツポツと集まってきたトランポが5台・・・とてもパドックを埋め尽くす数じゃないけど、開けた緑の周りには、このぐらいがちょうどいい。右に大きく曲がって、KXの右横にRMを並べる。左足の底を地面に着けて、右足を後ろに振り出す。RMから離れてからヘルメットを脱ぐと・・・髪はすっかり汗にまみれていた。

たまらずにジャージを脱いで、上半身をあらわにする・・・朝の冷やかさは、すでに記憶から消えていた。素肌が山の空気にさらされて、体にこもった熱は微風に流れていく。スポーツドリンクを飲んでいる隣で、陽射しの下、ブレストガードとネックブレースを着け始めるryo。ココをかなり気に入ってくれたようで・・・連れてきた甲斐があるというものだ。周りは見知らぬ顔ばかり・・・黒地に虹色の模様が入ったoneのウェアが見えなくなってすぐ、湿ったジャージにもう一度袖を通す。二人だけの世界で走れるのは・・・何年か振りだから。

<次回、最終話?!に続く>