二度目のMCFAJ 4

エキシビション”と言えば聞こえはいいけど、いわゆる“お試し”レースの「Local-X」。12分の練習走行と、わずか4周の“勝負”で、エントリー費は2000円・・・それでも、500mlのミネラルウォーターと小袋に入った駄菓子を組み合わせた参加賞が配られるし、事前エントリーしていれば、本戦に出走する選手達と変わりなく、大会プログラムに名前も載せてもらえる。そして、3位までに入れば、表彰台に上がってシャンパンファイトが待っている。本戦よりも手軽に、それでいて、張り詰めた空気も味わえて・・・“場”を楽しむには、申し分のない“もてなし”だ。ただ、MCFAJの大会に特別な思いを抱くryoだけは、雰囲気を楽しむだけでは収まらないらしく・・・瞳に渇いた緊張を宿している。クルマの後ろに残った水たまりを避けるように荷室からRMとKXを降ろすと、目ざとく城北Rの集団を見つけて、さっさとあいさつに行ってしまった。吐く息は白く、指の先が少し冷たくなってきた。

主催者のくどい“演説”が過ぎて、簡素なライダーズミーティングが終わると、気持ちの昂りを解放するように、練習走行が始まった。Lo-Xクラスは、最後に走行枠が与えられている。今年の最終戦、各クラスとも本番さながら、とても“練習”とは思えない迫力でコースいっぱいに排気音を響かせている。順番が回ってくる頃には・・・ちょうどいい湿り具合に落ち着いてくれそうだ。同じ排気量のマシンとは信じられない“SE150クラス”の走りに、口をぽかーんと開けたまま、スネークヒルの土手を下りてパドックへと引き返してくる。スピーカーから流れるしゃがれた声のとおり、予定より5分早い進行で、Lo-X公式練習の時間がやってきた。9時30分、先にヘルメットをつけたryoが、くぐもった音のエンジンを無理矢理引っ張るようにして、スターティンググリッドへと走り出す。弱い風に押される白煙の後を追って、RMがゆっくりとパドックを抜けていく。このレースで昇格の決まるori-chanは・・・もうパドックには居なかった。

<次回に続く>