まるで新品!?~前編

机の上には、まだ確認しなきゃいけないCD-ROMが七枚、透明のプラスティックケースに入って、積み上げられていた。四つの辺が几帳面に揃えられ、ぴったりと重なり合っている。何時間もかけてたったの一枚・・・疲れて老いた瞳では、それが精一杯だった。予定の18時をかなり回ってから、休み明けの“仕事”を透明のケースごと引き出しにしまい込んで、事務所の扉を開く。いきなり冷たい風が舞い、廊下の灯りが窓ガラスの闇に揺れていた。

大宮行きの京浜東北線に乗り、西川口で降りる。自動改札が並んだ小さな出口で、帰宅する人の波がゆっくりになる。東口へと続いた階段は、途中に踊り場が二つある珍しい造り。長さの割には狭く、そのまま猥雑な街に細くつながっていた。今通ってきた改札と階段の雰囲気のまま、こぢんまりとしたロータリーにバスが一台、落ち着かない様子で停まっていた。半円の形をした広場からは、道が数本、産業道路の方に向かって放射状に延びていた。

<後編に続く>